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ミクZ4、3年目の本気! SUPER GT激闘記 第30回

勝利への執念! ミクZ4、雨の鈴鹿を5位フィニッシュ!

2011年08月24日 18時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部 ●撮影/鉄谷康博、加藤智充、痛車カメラマンK、編集部

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SBT発動! 難しいレース展開を駆け抜ける!

 だが、今期急成長が著しい番場選手。追い込まれれば追い込まれるほど、SBT(スーパー番場タイム)が発動する法則の通り、絶好調の走りを見せ、ついにはベストタイムを出して11位に浮上する。この間に、上位を走行していた痛車ライバルの#2 エヴァ紫電はGT500のマシンと接触して、大きく順位を落としてしまう。

 番場選手にこのときの様子を聞くと

「こんなに難しいレース展開は初めてでした。最初は走っててもストレスが溜まるばかりで。SC(セーフティーカー)が入って、周回遅れになったときは、正直終わったと思いました。でも、SCが出たあとに路面が乾き始めたら、どんどんタイムが上がって。今まではなんだったんだっていう(笑)。無事に谷口選手にバトンを渡せてよかったです」

 とのこと。かなり悪戦苦闘していたことがわかる。

 そして、ミクZ4に2度目のピットインの情報が入る。このとき、チームが取った作戦に場内だけでなく、プレスルームもアキバのパブリックビューイング会場も震撼した。なんと、スリックタイヤをチョイスしていたのである! たしかに、途中から雨も止んで、ラインは徐々に乾きつつあった。だが、いつ再び雨が降ってもおかしくない天気なのだ。スリックを提案したのは谷口選手だったという。谷口選手は何もしないでポイントが取れないよりも、リスクを背負ってでも上位を狙いたいと、賭けに出たのである。

 もちろん、谷口選手ほどのドライバーがただの賭けで、スリックを選んだのではない。勝算があったからこそだ。だが、路面が乾いているのはレコードラインのごく一部分のみ。タイヤ一本分の面積しか乾いていないのである。当然、ラインをハズしてしまうと氷の上を走っているかのような状況になってしまう。言うなれば、ナイフのエッジを素手で掴むような、リスクと隣合わせのドライブをしなければならない。ドライビングスキルは言うに及ばず、揺るぎない精神力がなくては、残りのラップを走りきることはできないだろう。この作戦を提案した谷口選手の胸中は、GTドライバーにしか推し量れない。

 ミクZ4のファンだけでなく、ライバルチームも、他のチームの応援団も固唾を飲んで谷口選手のピットアウトを見守った。ピットアウトの時点では15位まで順位が落ちていた。レースは残り20周弱。はたして、ミクZ4はどこまでポジションを上げられるのか?

 なんとアウトラップでいきなりGT300のファステストタイムを記録し、再び会場を驚愕させる。これを見た他のチームも続々とスリックタイヤに変更。ピエール北川氏曰く「スリック劇場」がここにオープンした。

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