今回試用したモデルに搭載されたCPU、Core i3-2357M(1.3GHz)のTDPは17W。大中規模法人向けのAMDモデルはAMD E-350(1.6GHz)やAMD C-50(1.0GHz)を搭載するが、それぞれのTDPは18Wと9Wである。CPUの熱設計消費電力だけでバッテリー駆動時間は語れないものの、E-350+6セルバッテリーの駆動時間は、約7.2時間とやや短めだ(C-50+3セルで約4.1時間)。省電力性を重視するならインテルCPUモデルを選びたい。
ちなみにX121eの省電力マネージャーでは、電源スケジュールの設定でピークシフト機能が使える。これはEdge 11ではサポートされていなかったもので、このあたりもXシリーズらしいといえる。
低価格モバイルにも息づく
ThinkPadのDNAを感じるマシン
最後に内部を見てみよう。底面はアルミ合金の1枚板カバーで覆われており、3カ所のネジを回すと簡単に外せて、HDDやメモリースロットなどにアクセスできる。各パーツの大まかな配置はX100eやEdge 11と似ているが、細部は違う。驚いたのはチップセットのIntel HM65 Expressが中央上部に露出していることだ。
カバーのこの部分に吸気孔があるので冷却効果はあるのだろうが、ヒートシンク的なものがないというのも大胆な設計だ。さすがに長時間使っていると、底面のこの部分は熱を持つが、空冷ファンの騒音は抑えられている。そもそも仕様表では、X121eのチップセットは低消費電力の「Intel UM67 Express」のはずなのだが……。
ThinkPad Xシリーズを愛用している筆者から見ても、やはりThinkPad X121eは名機と呼ぶに値する存在だ。低価格路線のモバイルにも、ThinkPadのDNAがしっかりと引き継がれている。1点だけ難をつけるとしたら、システムツールなどのそっけなさだろうか。
使い慣れたユーザーにとってはその潔さが好印象だが、初めてThinkPadに触れるユーザーにしてみれば不親切だ。手に入れやすい価格設定だけに、サポートなど含め初期導入ユーティリティーなどもう少し面倒を見てほしいものである。
ThinkPad X121e(中小企業向けインテルモデル 30456FJ)の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i3-2357M(1.30GHz) |
メモリー | 2GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 11.6型 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 320GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、WiMAX、Bluetooth 3.0 |
インターフェース | USB 2.0×3(うちPowered USB×1)、4in1メディアカードスロット、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000Base-T LANなど |
サイズ | 幅289.6×奥行き208×高さ23.5mm |
質量 | 約1.4kg |
バッテリー駆動時間 | 最大約3.8時間 |
OS | Windows 7 Professional SP1 32bit版 |
直販価格 | 9万300円 |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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