VAIO Z開発者インタビュー
新VAIO Zを実現した独自性の高いハードの秘密に迫る
2011年08月17日 12時00分更新
井口「シートバッテリーのアイデアは、セットの設計前から存在したものです。ですから本体の設計も、シートバッテリーありきで始まっています。エアフローやインターフェースの細かな調整も、比較的スムーズにいきました。
「実は薄型化を実現するため、今回は標準搭載のバッテリー自身で、ボディーの剛性を保つようになっています」
金森「頻繁に付け外しをせずに、バッテリー自身が構造体になるようになっているんです」
井口「標準バッテリーを本体側にビスで固定して、ボディーの剛性保持に使えるのも、『増設バッテリーを搭載時に付け外しをしない』という拡張方式だから実現できています」
シートバッテリーをよく見ると、本体とのすき間にあたる部分に、空気が通る流路が存在する。薄型化しつつ、このボティーの中に標準電圧型のCPUを搭載しているため、エアフローではかなりの努力が必要であったという。
井口「薄くなるとエアフローの抵抗は増えます。そこでZ2では、積極的に上面を経由して中を通るエアフローを採用しています。エアフローを多面的に取って確保しているのです」
「内蔵の空冷ファンは、今回ツインファンになりました。径を大きくするという方法もあるのですが、占有体積を考えると効率が悪くなる。結果としても、Z1と同等以下の音量にはなっていると思います」
「また、音にうねりがおきないように、羽の枚数も工夫しているんです」
金森「片方が41枚で、もう片方が37枚です。どちらも素数として、固有振動数をずらすようにしています。また、Power Media Dock側にもファンが入っています」
井口「(GPUをドック側に移して)システム負荷が下がっているという点も、エアフローには若干貢献しています。HDDの内蔵は最初から検討していないので、その点は問題ないですね。ただ、SSDも現在はパフォーマンスが上がってきているので、熱源のひとつにはなりつつあります」
ハードウエアの構成として気になるのは、メモリーに汎用のSO-DIMMでなく、専用のモジュールを採用していることだ。そのため、出荷時にCTOでメモリーを増やしておく以外に、増設の方法はない。
井口「この薄さでは、汎用のDIMMを使うのは難しいですね。薄さ軽さの実現を考えると、このボディーにSO-DIMMを入れる余地はありませんでした。汎用のSO-DIMMによる拡張性よりも、薄さ軽さを優先して専用品を採用した次第です」
金森「ですからCTOでは、8GBを選ばれる方が多いのではないか、と予想しています」
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