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ゲームは難しくするだけが“進化”じゃない

iPhone神ゲー「GROOVE COASTER」はこうして生まれた

2011年08月25日 12時00分更新

文● 盛田諒/ASCII.jp編集部

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ゲーム本来の面白さを突き詰めた
誰でもリズムにノれる音ゲーが作りたい

―― GROOVE COASTERは「インフィニティジーンプロジェクト」の一環ですよね。インフィニティジーンをプレイした人からは「おー、石田さんっぽいゲームだ」と感じると思うんですが、そこは意識されてます?

石田 外からはたぶん「これがオレのゲームだ!」という感じに見えてるんじゃないかなー、と思っています。でもこのプロジェクト自体、自分の好みだけで作っているわけではもちろんないです。エフェクト1つをとっても、(自分の好みなら)お花とかファンシーなものを出すことはなかったと思いますし、今回のGROOVE COASTERでも、曲はものすごい地味なテクノだけになっていたんじゃないかなー……あははは。

キュートな曲、ファンシーなエフェクトもあるGROOVE COASTER

―― 前作のいわゆる続編や移植ではなく“派生作品”を出したのがふしぎでした。

石田 たしかにシューティングじゃないということがわかったとき、反発する声が出るかもしれないという不安はありました。実際ティザーを上げたときに「シューティングじゃないんだ……」という声もあったんですが、いざプレイしていただくと「これはおもしろい!」と受け入れていただけたので、本当にありがたいなと。

―― それにしてもすごい思いきりですよね。

石田 うーん……自分はどちらかといえば“壊す派”なんですよね。

―― 壊す派ですか?

石田 “壊して再構築する”という立場なんですよね。同じことをつづけていても、山はほんの少ししか高くならないだろうなと。その壊すタイミングというのは自分の感覚でしかないんですけど。

―― なるほど。

ゲーム開発で石田さんが心がけているのは“再構築”

石田 でも、ただぶっ壊したいわけじゃないですからね! あくまでゲームの面白さを再構築することが目的ですから。根っこの部分では、「ゲームとして本当に面白い部分ってどこだったの?」っていうところをもう一回掘り下げたいと思ってるんですよ。

―― というと?

石田 たとえば、インフィニティジーンの場合ならインベーダーゲームですけど、あれは“狙って、撃って、倒す”というところに重きが置かれていた。でも最近のシューティングゲームは「避ける」ことに比重が置かれているような気がするんです。シューティングの楽しさって、本当は撃つところだったんじゃないかと。

インフィニティジーンはとにかく撃って倒すことが重要なゲーム。敵機の弾を避ける動作もあるが、あくまでそれは撃ちながらのこと

―― いわゆる“避けゲー”ですよね。弾幕がとんでもなくて、クリアしたことそのものがネットで話題になるようなゲームもあるくらいの。

石田 そうです。なので、こっちはシュートする(撃つ)方を突き詰めたかったんです。「ほとんどランダムに撃ってくる中で一発だけ狙ってくる」とか、難しくすることはいくらでもできるんですけど、インフィニティジーンではそれをやめました。

―― それでGROOVE COASTERでは「音ゲーの楽しさ」を掘り下げることに?

石田 音ゲーであんまりボタンがいっぱいあると、リズムが分かっているのに叩けないじゃないですか。わかってるのに押せない、押せなくてノれない。本当はリズムに乗っているのが気持ちいいはずなのに、すごく視覚的になってしまっている気がするんです。うまい人がどうやってるのかがまったくわからない。本人に「ノってるよ」と言われたら「ノってるんだ!」と思うんですけど、もはや想像の範囲を超えた動きをしていて。

―― だから基本操作がタップだけなんですね。

石田 ボタンひとつなら、リズムさえ分かればノリノリでやれますからね。

―― ゲームがそれだけシンプルなのに、難しい曲はしっかり難しいところもすごいなと思います。これまでの音ゲーとは難易度のつけ方も変わってきそうですね。

石田 これまでの音ゲーはどんどんキーを多くして難易度を上げてきたところがあると思うんですが、このゲームはちゃんとリズムを刻めているかというところが重要なんです。(プレイヤーの目線が)飛んでいく方向が次々に変わっていくんですけど、視覚に惑わされることなく、ちゃんとリズムにノれているかという。

画面を縦横無尽に飛びまわっているようなプレイ感覚。「見えているものを気にしすぎるとリズムがとれなくなる」という新しい設定

―― そういえば、最初のうちは裏打ちに気づかなくて半拍遅れたり……。

石田 そうです! まさにそういうところですね。

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