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ゲームPCを安く作るならAMD Dual Graphicsを活用すべし!

2011年08月26日 12時00分更新

文● 宇野 貴教

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 AMDが満を持してリリースしたAPU「AMD A8」シリーズは、4コアのCPUとGPUを1つのダイに統合した新型プロセッサー(APU)だ。ポイントは高いスペックを持つ内蔵GPUで、一昔前の3Dゲームであれば軽快に動作させられるポテンシャルを持っている。さらに指定されたGPUを搭載するビデオカードを追加すれば、内蔵GPUとビデオカードのGPUの両方を利用してパフォーマンス向上のほか、片方だけを使って省電力を行なう「AMD Dual Graphics Technology」機能を持っている。

プロセッサー内蔵GPUとビデオカードのGPUを組み合わせた「AMD Dual Graphics Technology」構成は、どれだけ性能が向上するのだろうか?

 指定されるGPUを搭載するビデオカードは、いずれも1万円以下で購入できる製品なので、比較的低コストでグラフィック性能向上を図れるわけだ。今回はAMD A8シリーズの「AMD Dual Graphics Technology」にスポットを当て、どれだけ性能が向上するかを検証してみたい。

AMDのGPU「Radeon」シリーズのロゴ。APUの「AMD A」シリーズに内蔵されたグラフィック機能やビデオカードには、このRadeonが使用されている

APUってなに?

 AMDはCPUコアとDirectX11対応のグラフィック機能を1つに統合した新プロセッサー群を、これまでのCPUと区別するために「APU(Accelerated Processing Unit)」と呼んでいる。つまり、従来のAMD CPUは画面表示のために別途ビデオカードやグラフィック内蔵チップセットが必要だが、AMD APUはこれらがなくてもPCが組めるというわけだ。

開発コードネーム“Llano”こと、デスクトップ版Fusion APU「AMD A」シリーズ。写真は最上位モデルの「AMD A8-3850」

 グラフィック機能があれば、とりあえずAPUだけでPCを自作し、必要に応じてあとからビデオカード組み込むことが可能になる。また、ビデオカードが故障した際に画面表示ができず手詰まりになることもなくなる。
 これは従来のグラフィック機能内蔵チップセットでも同じことが言えるが、CPUにグラフィック機能が搭載されていれば、将来上位のプロセッサーに載せ換えたときにGPUの性能も引き上げられる可能性がある(A6からA8に買い換えれば、内蔵GPUが上位のRadeon HD 6550Dになる)。マザーボードを交換せずにCPUとGPU両方の性能アップが期待できるので、CPUにグラフィック機能が搭載されるというのは、自作ユーザーにはメリットが大きいことなのだ。

デスクトップ版AMD Aシリーズスペック
モデルナンバー A8-3850 A8-3800 A6-3650 A6-3600
開発コード Socket FM1
コア数 4
動作クロック 2.9GHz 2.4GHz 2.6GHz 2.4GHz
TurboCore時クロック - 2.7GHz - 2.1GHz
L2キャッシュ 1MB×4
内蔵GPU Radeon HD 6550D Radeon HD 6530D
TDP 100W 65W 100W 65W

 現在リリースされているデスクトップ向けAPUは、モデルナンバーが「A8-XXXX」と「A6-XXXX」で記されたシリーズで、動作クロックのほか内蔵GPUの性能が異なっている。注意するべきポイントは、これまでのAMD CPUからソケットが変更され、新ソケットの「Socket FM1」が採用されていることだ。従来のSocket AM3とは互換性がないため、新型のAPUを使うにはSocket FM1を採用するマザーボードが必要になる。

APU「AMD A」シリーズには、新ソケットの「Socket FM1」が採用されている。従来のSocket AM3とは互換性がない

Socket FM1に対応した「AMD A75」チップセットは、AMD Dual Graphics Technologyをサポートしている

デスクトップ向けAMD Aシリーズのプラットフォーム

AMD Aシリーズのブロックダイアグラム。約半分をGPUコアが占めている

内蔵GPUとビデオカードを組み合わせた
Dual Graphicsがスゴイ!

 今回のキモであるAMD Dual Graphicsだが、APUにより利用できるGPUがあらかじめ決まっており、それ以外のGPUではAMD Dual Graphicsは有効にならない。今回のテストで試用しているAMD A8-3850の統合GPUは「Radeon HD 6550D」だが、組み合わせ可能なGPUは以下の通りで、AMD Dual Graphicsが有効になるとGPUのモデルナンバーが変化する。

Dual GraphicsによるGPUモデルナンバーの変化
Radeon HD 6550D+Radeon HD 6670=Radeon HD 6690D2
Radeon HD 6550D+Radeon HD 6570=Radeon HD 6630D2
Radeon HD 6550D+Radeon HD 6450=Radeon HD 6550D2

 気になるのはどれくらいのパフォーマンスアップが期待できるかだ。まずはAMD A8/A6シリーズのスペックに注目してもらいたい。AMD A8シリーズのRadeon HD 6550Dは、一世代前のRadeon HD 5670と比較してシェーダープロセッサーとテクスチャユニット、ROPが同じ数で、統合GPUとしてはかなり高性能であることがわかる。

AシリーズのGPUコアと競合製品の主なスペック
  AMD A8
(Radeon HD 6550D)
AMD A6
(Radeon HD 6530D)
Radeon HD 6670 Radeon HD 6570 Radeon HD 5670
製造プロセス 32nm 40nm
シェーダープロセッサー数 400 320 480 480 400
テクスチャユニット数 20 16 24 24 20
ROP数 8
GPUクロック 600MHz 443MHz 800MHz 650MHz 775MHz
Universal Video Decoder UVD3 UVD3 UVD3 UVD3 UVD2

 GPUとしてはエントリクラスに位置するRadeon HD 6670だが、AMD Dual Graphicsを組み合わせればミドルクラスモデルのGPUと争えるくらいの性能が期待できるだろう。1万円で購入できるビデオカードでミドルレンジクラスのパフォーマンスが得られれば、かなりお得感があると言える。

AMD Aシリーズのグラフィックエンジン「Sumo」のダイアグラム

CPU-ZによるAMD A8-3850のステータス

GPU-ZによるAMD A8-3850のGPUコアのステータス。モデル名は仕様通りAMD Radeon HD 6550Dとなっている

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