特許の“数の勝負”では
なかなか勝ち目がないGoogle
Drummond氏が最初のブログを公開した狙いはさまざまだろうが、Nortelの特許に競り負け、米国際貿易委員会(ITC)がHTCによるApple特許の侵害を認めて以来、Google/Androidが法的に窮地に立たされているのは明らかだ。Androidが特許を侵害していないと主張できればよいが、Oracleとの訴訟では劣勢だ。
Googleは現在、多数の無線関連特許を持つ米InterDigital社の取得を狙っているといわれているが、同社に対してはAppleも動いていると伝えられ、Microsoftも同様の可能性がある。先のNortelの特許売却で45億ドルという値がついたことで、InterDigitalも大きな額になりそうだ。
アメリカの特許システムは機能していないといわれて久しく、見直しや改正を求める動きがある。特許は本来イノベーションを奨励するものだが、ほとんどの企業にとって、特許は訴訟を起こされないための防御にすぎない。ここでは保有する特許の数がものを言うことになり、Googleの立場は弱い。CNET Newsが紹介していた投資銀行MDB Capital Groupの数値によると、モバイル端末関連特許数(出願中のものを含む)でGoogleは317件、Microsoftは2594件、Appleは477件となっている。
Googleも以前から特許に懐疑的な見解をしてきたと思うが、現在の法律のもとでビジネスを行なう以上はルールに従わなければならない。そういう流れでみると、特許ポートフォリオを強化すると述べてNortel特許に入札しながら、特許攻撃に遭っていると嘆くGoogleの主張は、矛盾しているように見える。なお7月末にはGoogleがIBMから1000件の特許を取得していることも明らかになっている。
“いじめられた”と泣きついたところ、いじめたと言われた人が“仲間に入れようと誘ったのに、断ったじゃないか”と明かす……。GoogleとMicrosoftのオンラインでのやりとりは、そんなところだろうか。2社の交戦はひとまず休止しているようだが、今後スマートフォン特許問題がどのように発展するのか当面注目だ。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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