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パソコン周りの音環境を改善

クリプトンのPCスピーカーを自宅に導入、音は本当にイイのか? (3/4)

2011年08月12日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部、イラスト●木野陽

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KS-1HQMの臨場感に心くすぐられる

 肝心の音質はどうだろうか。ここからはIcon+S-1と比較しながら、KS-1HQMの音を聞いていこう。まず期待していた定位感に関しては、非常に好感触という印象だった。ノートパソコンの左右に1mほど離してKS-1HQMを置き、耳から70cmほどの位置で聴いてみた。

 iTunesを使って、ボーカル曲を再生すると、歌手の声がノートの液晶のやや後ろにピッタリと定位して、真正面から音が飛んでくる。実際には左右から音が鳴っているはずなのだが、それを意識することはない。これには驚かされた。指ではじいた弦の表現や、ドラムの音などを聞くと立ち上がりが速く、切れのよさも感じる。

どっしりとした台座とインシュレーターはKS-1HQMの特徴。電源ケーブルも極太のOFC素材でアクセサリーメーカーとしてのこだわりが感じられる

 このあたりはネットの評判の良さがうなずけるところ。周辺機器然としたパソコン用のスピーカーはもちろんだが、音は明瞭でも頭の中心で音が鳴っているような不自然さも感じさせる、ヘッドホンにはない音の広がりの自然を体験できる。小型のPC用スピーカーとは思えない表現力の高さだ。

 それではハイレゾ音源は……ということで、HQMStoreで販売されている24bit/88.1kHzのオーケストラ曲をfoobar 2000というソフトで再生してみる。音の滑らかさや残響の表現などがとてもリアルで、単に中央に音が定位するだけでなく、打楽器は左奥、ホルンやトロンボーンは右、フルートやオーボエは少し手前……といったぐあいに楽器の位置関係(主に左右方向)も何となく把握できる。

KS-1HQMはバスレフ構造で、低音の支えがしっかりしているように感じる

 空間表現と音の広がりはIcon+S-1でも十分に感じられたが、低域の量感と重さには大きな違いがあるようだ。KS-1HQMは艶やかな響きで、低域のブーストを多少利かせているのか、十分な重量感も感じる。中々安定感のある表現だ。Icon+S-1は低域・高域をあまり欲張らず、あっさりと軽やかに鳴るキャラクター。金属製のフェイズプラグにより、フォーカスはキッチリ決まるが、ユニット周りから広がった、独特の形状はホーンのような役割を果たしており、音はよく広がる。

 音場の広さ・定位感という意味では優劣付けがたいところ。とはいえ音の印象はかなり異なるため、好みは分かれそうだ。プレゼンスという意味ではKS-1HQMに軍配が上がり、一聴するとその良さに魅かれるが、長時間BGM的に流す用途では、聴き付かれしにくいIcon+S-1の音も悪くないと思えてくる。KS-1HQMはフルセットのコンポのように少し離れた位置から、音量を上げて聴きたい印象だ。

 別の記事ではテレビとの組み合わせを提案したが、パソコン机においてニアフィールドで聴くだけでなく、距離を取って聴いても音痩せせず、しっかりとした再生が可能である。小型(といっても台座を含めるとそれなりのサイズになるが)の本体にも関わらず、懐の広さを感じさせる堂々とした鳴りっぷりであった。

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