LGA2011のSandy Bridge-E
6コアと4コアで登場
続いてはCore i7シリーズだ。LGA1366ベースの製品は現在出荷中の「Core i7-980」で打ち止めとなり、また今のところSandy Bridgeベースの「Core i7-2600」シリーズにも新規製品の予定はない。だが2012年の「Ivy Bridge」ベースの製品が出る前に、Sandy Bridge-EベースのLGA2011パッケージの製品が、Core i7として追加されることになりそうだ。
追加されるのは、6コア/3.2GHz駆動でアンロック版の「Core i7-3930K」と、4コアで3.6GHz駆動の「Core i7-3820」である。このラインナップが追加されるのは、LGA2011の対応CPUが「Extreme Editionだけ」では、さすがに対象ユーザーが少なくなりすぎるためだ。かつてハイエンドプラットフォームを狙ったものの、CPUの高価格もあってロクに普及しなかった「SkullTrail」という前例があったことは、流石にインテルもまだ覚えているようだ。
LGA2011対応マザーボードを製品化するようなマザーボードベンダーは、技術があり製品ラインナップも幅広い大手ベンダーだけだろう。だが、対応CPUがExtreme Editionのみとなっては、彼らでさえマザーボードが商品として成立するかさえ疑わしくなる。そこで少しはLGA2011にも普及価格帯寄りのCPUをラインナップしてユーザー数を増やすことで、対応マザーボードを製品化しやすくしよう、という考えだろう。
そうなると2012年も相変わらず、Core i7にはLGA2011とLGA1155という2種類のプラットフォームが混在することになるだろう。ちなみに「普及価格帯」とは書いたものの、安いCPUにはならないようだ。Core i7-3930Kで560ドル前後、Core i7-3820で500ドル弱、といった数字が聞こえてきている。もっとも、NehalemベースのCore i7の時も、下位の「Core i7-920」は284ドルだったが、「Core i7-940、950」は562ドルだったから、インテル的にはこれでもバーゲンプライスなのかもしれない。
ダイサイズはまだ正確なところは不明だが、Sandy Bridgeが220mm2程度で、このうちGPUが20%程度を占めていたから、おおざっぱに見積もると「CPU4コア+8MB 3次キャッシュ」で176mm2程度になる。Sandy Bridge-EはGPUを持たない代わりに、コアが6つで3次キャッシュが15MBだから、これだけでも最低でも280mm2程度。QPIやPCI Express 3.0、倍増したメモリーコントローラーやらを加えると、300mm2を超えているのは確実だ。その観点からしても、560ドル程度ならお安いと言えるのかもしれない(Nehalemは264mm2程度だった)。
これに続いて2012年に登場するのが「Ivy Bridge」。製品名が「Core i7-3000」シリーズになるのはほぼ確定である。相変わらず動作周波数などは不明だが、3次キャッシュが12MBに増量されてGPUが強化、PCI Express 3.0を搭載といったあたりが大きな違いだ。あとはCPUコアに若干の改良が施されているとか、DDR3メモリーコントローラーが最大2133MHzまで対応可能とか、そういった細かな違いがある程度で、逆に言えば違うのはその程度と思われる。
TDPも不明だが、恐らく既存の65W/95W枠を踏襲すると思われる。以前は「Ivy BridgeはパッケージにLGA1157を採用して、Sandy BridgeベースのLGA1155と互換性がない」という話だったが、今ではSandy Bridge世代と互換性があるという話に変わっている。技術的には、Intel 6シリーズチップセットでIvy Bridgeを使うことは可能だろうし、BIOSの対応と検証を行ない「Ivy Bridge対応」をうたう製品も出てくるかもしれない。だが公式には、「Intel 7シリーズチップセットのみがSandy BridgeとIvy Bridgeの両対応」になると予想される。
このIvy Bridge、恐らく発表は2012年1月と思われるが、インテルの22nmの量産スケジュールから勘案すると、本格的に大量出荷が可能になるのは2月以降になるだろう、というのがもっぱらの噂である。恐らく1月の時点では、お披露目+α程度にとどまるだろう。
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