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大震災以降のITの災害対策を考える第5回

震災以降のDR計画はテープじゃなくてやっぱりD2D!

iStorage HSで実現する失敗しない遠隔バックアップ

2011年08月22日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 

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NECの「iStorage HS」は、安価に信頼性の高いD2D(Disk to Disk)バックアップを実現する専用のストレージ装置だ。災害対策にも絶大な威力を発揮する同製品の概要を、NEC プラットフォーム販売本部 ストレージ販売推進チームの大内勇人氏に聞いた。

DRのためのバックアップ最適化

 3月の震災の影響で、バックアップや災害対策の見直しを検討する企業は多い。このうち、おもに全国に拠点を持つ大企業や中小中堅企業で注目を集めているのが、業務データの遠隔バックアップだ。「今まではデータセンターに置いているので大丈夫という声が多かったのですが、震災や計画停電以降、重要な業務データを遠隔地に移したいという案件が確実に増えています」(大内氏)。本社やデータセンターから地理的に離れたDRサイトにバックアップを行なうことで、確実なデータ保護や事業継続などを実現する訳だ。

NEC プラットフォーム販売本部(ストレージ販売推進チーム) 主任 大内勇人氏

 この遠隔バックアップを実現するために避けて通れないのが、バックアップの効率化である。現在はHDD1台でテラバイト規模の容量が普通になっており、業務のデータが増大してくると、バックアップにかかる時間は膨大になる。また、サーバーが複数台になると、バックアップ構成や設定、磁気テープの管理も煩雑になってくる。こうした状態で、遠隔バックアップなどを実現しようとすると、DRサイトへの転送やリカバリに時間がかかり、しかもバックアップやリカバリの手順が複雑になってしまう。これでは、せっかく災害対策として準備しても、迅速にデータを復旧し、業務を継続させることは難しい。つまり、DRサイトにデータを飛ばす前に、手元のバックアップをきちんと見直す必要があるわけだ。

 今後、バックアップを考えるのであれば、複数サーバーを仮想化し、バックアップは集約。データ容量自体もきっちり絞りたい。また、データ増大にあわせて、性能や容量も拡張できなければならないし、なにしろデータの最終保管場所として、データ保護の信頼性が必要になる。もちろん、コスト面でもリーズナブルでなければ、いくら災害対策向けとはいえ、導入は難しい。

 これら複数の要件を満たし、効率的なバックアップを実現するのが、NECのiStorage HSシリーズである。

重複排除のメリットをDRで活かす

 iStorage HSシリーズ(以下、iStorage HS)は、D2Dのバックアップを専用に行なうストレージ装置。単体でも利用可能な「iStorage HS3」と、複数台のクラスタ構成が可能な「iStorage HS8」の2つのラインナップが用意されている。もともと「HYDRAstor」として北米のNECで開発した製品がiStorage HS8で、国内向けに小型化・低価格化を図ったのがiStorage HS3になる。

D2D向けバックアップストレージのラックレスモデル「iStorage HS8-30S」

 iStorage HSは複数のSATA HDDを搭載したNASで、通常のファイルサーバーと同じく、ネットワーク経由で利用する。サーバーからは、従来バックアップで用いていた磁気テープドライブをこのiStorage HSに入れ替えることで、すぐにD2Dバックアップが導入できる。さらにiStorage HSに集約したデータをストレージの機能としてDRサイトに転送でき、企業の重要データを確実に保護することが可能になる。

iStorage HSによるD2DバックアップとDRサイトへの転送

 iStorage HSの特徴の1つは、重複排除によるデータの削減だ。重複排除はデータを細かいブロックに分割し、このブロック単位で重複したデータを排除していくもの。iStorage HSの場合、「DataRedux」という独自技術を用いることで、データの重複箇所を排除し、さらに圧縮をかける。これにより、平均で1/20のデータ削減が可能になっているため、「たとえばiStorage HS3であれば、2.4TBの物理容量に対して平均48TBの論理容量を確保できます」(大内氏)という。昨今は、バックアップデータの増大が深刻な問題となっているため、重複排除はこれからのバックアップには必須の機能といえる。

 そして、この重複排除が遠隔バックアップで大きな役割を果たすのは言うまでもない。遠隔バックアップでもっとも課題になるのは、データの転送にWANを用いることだ。コストがかかるため、WANの帯域は可能な限り絞りたい。とはいえ、低速な回線だと大容量のデータ転送に時間がかかってしまう。iStorage HSを使えば、重複排除により転送するデータ量自体を大幅に削減するため、WANは低速なベストエフォート回線でよい。これは大きなコスト削減効果を生む。もちろん、転送に際しては暗号化をかけることも可能なので、セキュリティ面でも安全だ。

 具体例を見てみよう。かりに毎日4TBのデータを遠隔バックアップするケースを考える。データをそのまま送るために1Gbpsの帯域保証型回線を契約すると、月額の利用料は100万円以上かかる。しかし、iStorage HSを使うと、重複排除によりデータ量は平均1/20になるため、4TBの転送対象データは200GB程度にまで圧縮される。200GBを送るのであれば、月額数万円の100Mbps回線で十分である。つまり、中長期的には数千万円もの大幅な回線コスト削減になる。

毎日4TBのデータを遠隔バックアップする場合の回線コスト削減例

 もちろん圧縮の効果はデータによって異なるし、回線の種類もさまざまなので、コストも一概にはいかない。しかし、重複排除を用いない従来型の遠隔バックアップに比べれば、大きなコスト削減効果を生むのは間違いない。重複排除の効果、まさに恐るべしというわけだ。

高い信頼性や拡張性も確保

 また、複数のディスク障害発生時でもデータを消失しない高い信頼性や性能を確保しているのも特徴。データを分割したのち、特殊なパリティを付加し、複数のディスクで分散保管する「分散冗長配置」を採用。ディスクが同時3台、最大6台まで壊れても、データ損失は回避できるという。そのため、「データの最終格納先として、磁気テープの代わりにiStorage HSを使っていただいて大丈夫です。信頼性という観点で磁気テープを用いているユーザーも安心してD2Dに移行できます」(大内氏)という。常時すべてのHDDで分散的に書き込まれるため、パフォーマンスも高く、ディスク障害時はデータが書き込まれている部分のみを修復するので、RAIDと比べてリビルドも高速だという。

磁気テープからの乗り換えでも安心な信頼性を実現する「分散冗長配置」

 そしてもう1つの特徴が、高い拡張性だ。iStorage HS8は性能を向上させる「アクセラレータ・ノード」と、容量を拡張させる「ストレージ・ノード」の2種類が用意されている。これらを組み合わせることで、容量だけではなく、性能もリニアに拡張できる。これはNECが独自に開発したグリッド・ストレージの技術をベースにしており、物理容量で最大319TBまでサポートする。「サーバーやストレージの統合を進めていくと、必然的にバックアップも統合する流れになります。こうした中、最初から高価な大型機を入れるのではなく、スモールスタートできるという点が重要だと考えています」(大内氏)。拡張は無停止で行なえ、データの再配置もすべて自動的に行なわれるので安心だ。また、エントリ向けのiStorage H3も、物理容量で最大7.1TBまでのモデルが用意されており、中小向けではまったく不足のない拡張性を実現している。

 もちろん、エコロジに全力を注ぐNECだけに、消費電力にも配慮。最新のiStorage HS3-30Tでは、従来モデルに比べ消費電力を45%も削減した。「バックアップの処理をしていないときは、電源自体を落としてしまう節電運転もサポートしました」ということで、徹底した省電力化を図っている。

省電力機能を強化したiStorage HS3の最新モデル「iStorage HS-30T」

 このようにiStorage HSは、データの大容量化や災害に対応するために必須になってくる要件を確実にカバーした戦略的な製品だ。コスト削減や導入の容易さはもちろん、なにより、運用が煩雑なテープのバックアップがD2Dになることで、管理者の負担も大幅に軽減される。災害対策とバックアップの見直しを考えるユーザーは、最初に導入を検討すべきバックアップストレージといえる。

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