四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第67回
UTAU重音テト×桃音モモ「中の人」キャッキャウフフ放談
これがソラリスの海か! “音源系女子”ガールズトーク
2011年08月06日 12時00分更新
運命のエイプリルフール
―― エイプリルフールネタで重音テトをやった当時は、まだ中学生だったわけじゃないですか。
やまのん もう中学は卒業していて、高校に入る前の春休みだったんですけどね。
―― そういう微妙な時期になぜテトになったんですか。
やまのん 2ちゃんねるVIP板で「エイプリルフールにでっち上げのボーカロイドを作って皆をからかってやろう!」みたいな話が盛り上がっていたんですけど。偽ボーカロイドのイラストや設定は決まったのに、声がなかなか決まらずにいたんです。そこに私が適当に歌ってロボ声に加工した曲を上げたら「じゃあこれに決定!」ということになって。
偽ボーカロイドがVIP板で出来上がっていく様子。「新ボーカロイド重音テトはこんな風に作られました」(Vol.1~4) |
―― ロボ声は自分で録音して加工したんですか?
やまのん 私、中2の頃に自分のパソコンを買ってもらって、わーいっていうので、いろんなもの(ソフト)をいっぱいダウンロードしたんです。それで色んなことをやってみて。
―― それにしても何でVIPなんか見てたんですか?
やまのん 私、小4くらいからネットにはまって。友達も私に張り合ってネットを始めて、どんどん張り合って、2ちゃんねる見てどうとか言い始めて。「ほう、おヌシなかなかやりよるな!」とか言って。その辺からVIP見てました。
―― 見栄VIPPER?
やまのん そうなんですよ。今考えるとそんな感じ。小5くらい。最悪ですよね。ダメだろーって感じですよね。
テトの保護者サークル「ツインドリル」
―― そういう子供を周りの大人はハラハラしながら見ていた、という話を聞いたことがあるのですが。
やまのん えー、全然知らなかったです。
萌々子様 今のテトは「ツインドリル」というサークルで作っているんですよ。最初の時点で彼女もまだ高校生だったし、今でも未成年だから、大人のメンバーがいっぱいいて、権利関係とかを見ててくれるよね。
やまのん 最初に「耳のあるロボットの唄」※がカラオケに入ろうとしているので、チャットで会議をしよう、と。その時に仕切っていた人たちが「サークルにしてしまおう」というのでできたのがツインドリルです。その時はこのサークルで“テト本”とかグッズ作ってイベント出られたらいいよね、みたいに言ってたんです。それが途中からテトの保護者サークルみたいになってきて。今は取材とか雑誌に載るとき、オフィシャルサークルとして対応してます。
※ 耳のあるロボットの唄 : UTAU界初のカラオケ配信曲。2009年9月にJOYSOUND入り。
萌々子様 漫画を描いたりMMDをやったりCGをやったりという人たちが、自然にテトに集まってきて、そしてサークルになったという感じですよね。テトの場合は、音声は彼女が権利を持っていて、キャラクターデザインに関しては絵を描いた、線ちゃんが持っているんですね。やまのんの1つ下だっけ?
―― えっ、またそんなに若い人なんですか。そして揃いも揃ってVIP板見てたんですか。
やまのん そうなんじゃないですかねえ。
―― なんで線さんなんですか?
やまのん 線(キャラクターデザイン)描いたから。
―― そのまんまですな。
萌々子様 それで2人とも未成年だからツインドリルさんがバックアップという感じですね。
―― なるほど。カラオケに入るときの権利関係はどうしました?
やまのん 私、JOYSOUNDまで行ったんですよ。その時はボカロがカラオケに入り始めた時期だったんですけど、みんなお金は要らないのでカラオケに入れてもらえれば、という流れだったのでそんな感じです。もしお金が生じることがあれば、全部が楽曲制作者である耳ロボPさんに行くという感じで。だけどボーカロイドのパロディだから厳しいんじゃないの? 怒られたりしない? みたいな感じではいました。
―― じゃあクリプトンとは仁義切りました? えーと、この業界では揉め事が起きそうな時に、事前に挨拶しにいくのを仁義切るって言うんですけど。
やまのん はい。そうしたらクリプトンさんは応援してくれているみたいで、アレ? って。「面白いので興味を持っていました」みたいな返事が返ってきて。
萌々子様 東大でCGMに関する講義※があって、その時にツインドリルの代表のセリさん※、ベビタスさんと一緒にご挨拶に行ったら「はい、存じ上げています」みたいな感じで。
※ セリさん : ツインドリル代表。ニコ動でも活動するイラストレーター。ニコ動の活動履歴はこちら。
―― シャレの分かる会社で良かったですねえ。ところでご両親はあなたが重音テトであることは知っているのですか?
やまのん うちの親、おたくっぽいことが嫌いなんです。だから何かそれっぽいことをやっているのを見ても、見なかったふりしてます。
―― 友達は?
やまのん 誰も知らないですね。でも前に「ねえUTAUって知ってる? 重音テトっていうのが面白くてさ」という友達がいて、それ私だから、へへへーっ! って思ってやったことはありました。
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