細かくラインナップを見ていこう。まずハイエンドに位置付けられるのがIntel Z77である。こちらの最大の特徴は、CPUから出る3.0のPCI Express x16レーンを、以下の3種類に構成可能という点だ。
- x16レーン(1本)
- x8+x8レーン(2本)
- x8+x4+x4レーン(3本)
また、「CPU Overclocking Feature」が有効になるとされているが、これが単に(Z68やP67マザーボードに見られるように)BIOSでオーバークロック動作を有効にする「だけ」なのか、もう少し踏み込んだ機能があるのかははっきりしない。
Z77の少し下のグレードになるのがIntel Z75である。ISRTには対応しない点と、PCI Express 3.0の対応レーンから「x8+x4+x4レーン」が省かれるのが違いである。「3-way SLIなりTriple Crossfireを構成したければ、Z77搭載マザーボードを選べ」ということなのだろう。もしくは普通のSLIと3-way SLIでは、NVIDIAに支払うライセンス料が異なり、それも関係するという可能性もある。一方CPU Overclocking Featureは、Z75にも搭載されるようだ。
こうしたハイエンド機能を省いたのがIntel H77となる。ISRTには対応するが、PCI Expressはx16レーン構成のみでデュアルGPUに非対応となるほか、CPU Overclocking Featureも搭載されない。このH77が、コンシューマー向けのベーシックチップセットになる。
ビジネスPC向けチップセットは
Q77、Q75、B75の3本立て
Z77/Z75/H77はコンシューマー向け製品という扱いであるが、これとは別にエンタープライズ向け(ビジネスPC向け)として、「Intel Q77」「Intel Q75」「Intel B75」の3製品が、現時点でラインナップされている。
Q77がこの中で一番早く発表される製品になるようで、Z77/Z75/H77よりは遅れるものの、2012年1月中にリリースという予定で現在は進んでいるようだ。前述のとおり、ひょっとするとCESで同時に発表されるかもしれない。機能的にはZ77/Z75をベースとしつつも、以下のような違いがある。
- CPUのPCI Expressレーンが未サポート(原則内蔵GPUのみ)。
- PCIバスをサポート。
- 管理機能をサポート。
ここで言う「管理機能」とは、Intel vProと「Intel Standard Manageability」(ISM)、「Intel SBA」(Small Business Advantage)の3種類のことだ。Q77はこのすべての管理方式をサポートする。また他にも、ビジネス向けチップセットの常として、遠隔管理機能「Intel AMT 8.0」(Active Management Technology)や盗難対策機能「Intel Anti-Theft Technology」などもサポートされる。個々の機能の説明は本題ではないので、割愛させていただく。
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