もうひと押しがほしい「Mac mini」
―― Mac miniはどうですかね?
吉田:独立したグラフィックス機能を搭載した2.5GHz Mac miniはチャレンジかなと思う。でも、まだ立ち位置がちょっと明確じゃないよね。Mac miniは、2005年に発売した初代が日本でも爆発的にヒットしたけど、その後は低空飛行が続いてきた。
―― 一時期、あまりに新製品が出なくて、シリーズ自体が終わるんじゃないかって噂されてましたよね。
吉田:そこでデザインを薄型にリニューアルしたんだけど、あまり効果を感じられなかったから、今回、中身を変えてきたんだと思う。MacBook Airは、ひとつ前のモデルで11インチを投入してテコ入れしたことで、大ヒットにつながったよね。
―― Mac miniもああした流れにつながるといいんですけどね。
吉田:もう一押しほしいって感じかな。特にデスクトップ型Macでは、iMacがバランスが取れていてお買い得なので、Mac miniを選ぶ理由がない。
―― DVDドライブを取っ払ったことも、初心者の敬遠につながるかもしれない。
吉田:iMacから、ディスプレーとドライブ、キーボード、マウスをとったらMac miniになるという程度の話ではダメだと思う。例えば、SATAのドライブを4台内蔵できるとか、Mac Proまでいかないけど多少拡張性があるとか、Mac miniならではのウリが見たい。サーバー用途にしても、今後、データ転送速度の速いThunderboltの周辺機器が普及してきたら、iMacでいいじゃんって話になるかもしれないし。
―― 俺は一世代前のMac miniを持ってるんですが、リビングにあるTVにつなぐ目的で買ったんですよね。でも、その後に出てきた「Apple TV」のほうが便利なので、結局Mac miniはお役御免にしてしまった。
吉田:Mac miniは、一時期、リビングパソコンの路線を打ち出していたけど、今はリモコンの「Apple Remote」が付属しないし、リモコンでコンテンツを再生するためのソフト「Front Row」も付けなくなった。リビングパソコンってコンセプトを撤回してしまったんだよね。では、次はどこに向かうのかという点が明確じゃない。マニアにとっては触っていて楽しいマシンだけど、もっと一般に分かりやすいコンセプト提示がほしい。
―― 何かないですかね。
吉田:例えば、Mac miniの天面が全部トラックパッドとかね。OS X Lionでトラックパッドの重要性が増したし、サイズが大きいからかなり使いやすいでしょ。
―― 何ですかそれは(笑)。本体の放熱で熱いですよきっと。
吉田:そこはなんとか。冗談だけど(笑)。