本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
「オーディオのクラウド化」を整理する
今秋、アップルによるクラウドサービス「iCloud」がスタートする(関連記事)。なかでも音楽好きにとっての目玉機能は、iTunes Storeで購入した楽曲を自分が所有する全端末でダウンロードできる「iTunes in the Cloud」、ローカルにある楽曲とiTunes Storeが有する楽曲をデータ照合し一致するものをダウンロードできる「iTunes Match」の2つだろう。
そのうちiTunes in the Cloudはすでに運用が開始され、ここ日本でもiOSアプリと電子ブックの扱いがスタートしているが、レーベルとの契約の都合があるためか、音楽に関しては未定となっている。後者のiTunes Matchについても、米国先行でサービスを開始することが告知されており、それ以外の国/地域における開始時期は不明だ。
ところで、音楽を対象としたクラウドサービスにはいくつかの形態がある。ここではiCloudの立ち位置を明確にするため、以下のように大きく3種に分類したが、今後新たなサービスも考案されることだろう。
純粋クラウド型
HDDなど手持ちのストレージ(ローカル)に蓄えたオーディオファイルをクラウド上にアップロードし、それをクライアントソフトを通じて聴くシステム。Amazonの「Cloud Drive」や、Googleの「Music Beta by Google」などが該当する。サービス提供企業には、膨大なディスク容量が必要となる。
クラウド/ローカル連携型
パソコン上でサーバーソフトを稼働させておき、ローカル環境に蓄えたオーディオファイルを必要に応じてアップロード、それをクライアントソフトを通じて聴くシステム。聴きたい曲を事前にアップロードする必要がない反面、常にパソコンを待機状態にしておかなければならない。AG Entertainmentが現在ベータテスト中の「AudioGalaxy」が該当する。
クラウドマッチ型
ユーザーが有するオーディオファイルと一致した楽曲がサービス提供者側にある場合、オーディオファイルをアップロードすることなくユーザーが所有する全端末でダウンロードできる、iTunes Matchで実現されるサービス。多数のレーベルとの契約を持ち、1800万曲以上の楽曲を擁するiTunes Storeならではの機能といえる。マッチする曲がない場合は、オーディオファイルがクラウド上にアップロードされる。エンコード条件にかかわらず、楽曲は一律AAC 256kbps/DRMフリーに変換される。
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