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あなたの知らない最新AVの世界 第2回

心揺さぶる重低音の迫力! 3D時代のサラウンドを体験

2011年07月27日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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5本のスピーカーから音が降り注ぐ! 音に取り込まれる感覚!!

完成したシステムで早速試聴を開始

完成したシステムで早速試聴を開始

 今回は、筆者が用意した4本のBDソフトで試聴してもらうことにした。まずは、リドリー・スコット監督の「ロビン・フッド」。これは、その後に英雄として語られることになるロビンフッドの前日談で、冒頭では十字軍としてリチャード1世とともに遠征し、腕の良い射手として活躍、最後にはイギリスと地方領主たちの対立をおさめ、フランス軍との戦争も行なうという、スケールの大きなスペクタクル作品となっている。

 そのクライマックスである、海岸を舞台としたフランス軍との戦争を見てもらった。多数の軍船で海から上陸しつつあるフランス軍を、ロビン率いる射手の一段が岸壁の上から弓矢で迎え撃ち、激しい戦いが始まる場面だ。

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編集O:これはすごい!! 凄い数の弓矢が部屋中に降り注いでますよ。

編集K:騎馬の駆ける足音の重量感が凄いですね。音のひとつひとつが重みがあってリアルです。

鳥居:映画ソフトでは、サブウーファーの効果がよくわかりますね。映画の場合、サブウーファー専用のLFE(低音効果用)チャンネルが積極的に利用されていて、特に重みのある音を力強く再現できます。ハイエンド級の大型スピーカーならともかく、一般的なステレオ用スピーカーでこういった低音を出すのは難しいですね。

 「部屋中に弓矢が降り注ぐ!」というサラウンド効果について補足すると、わりとアクション映画ではこういったサラウンドの演出は多く、弓矢に限らず雨の中のシーンでも部屋中に雨が降る。

 これはフロントだけでなくリアチャンネルでも弓矢の音が入っているためだが、きちんとセッティングを行なったために、フロントスピーカーとリアスピーカーの音がきちんとつながり、それぞれのスピーカーから音が出ているのではなく、スピーカーが一体となって、空間全体から音が出ているように感じる。これが、「部屋中に弓矢が降り注ぐ!」の本当の意味だ。

編集O:低音の迫力や音に囲まれている感覚もあるし、いかにも映画の音ですね。

編集K:それでいて、映画館よりも細かい音までクリアーに聴こえる気がします。映画の世界の中に入って聴いているような感覚です。音楽鑑賞で例えるとヘッドホンでじっくりと音楽と向き合っているような喜びがありますね。

鳥居:映画館では、たしかにここまで細かい音を聴き取るのは難しいですね。迫力重視だし、隣の人がうるさいときもありますから(笑)。

 好きな映画ならば自分一人でじっくりと楽しみたいと思ったとき、ホームシアターはとても頼もしい相棒になる。その喜びや楽しさがまずわかってもらえたようだ。

「ガンダムUC」で音質クオリティの高さを実感!?

 続いては、人気の高いアニメ作品の「機動戦士ガンダムUC」の第2巻から、モビルスーツ同士の戦闘場面を見てもらった。この作品は、銃撃音やモビルスーツの駆動音などがファーストガンダムで使用された効果音をベースとして新規に作っているが、その音のリアリティを聴いてもらいたい。

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編集K:飛び交うビームの移動する感じも面白いですが、ひとつひとつの音がすごくリアルですね。もちろん、本物の銃撃音とは違うんでしょうが、映画的なリアルさがあります。

編集O:音の迫力のせいだと思いますが、映像のクオリティも上がっているように感じますね。

編集K:没入感が高まっているからでしょうね。作品の世界にぐいぐい引き込まれます。自分の部屋でもこういう音で聴きたいと思いますね。

 音の迫力で誤魔化されているだけではないように、試しに音量を会話ができる程度まで下げてみたが、決して音の迫力やリアリティは失われていなかった。これは、クリアな再現をするスピーカーをしっかり鳴らしきるAVアンプのドライブ能力の高さもあるが、やはり5本のスピーカーをきちんと使ったサラウンド再生ならではのクオリティの高さが音に効いているのだろう。

編集K:これは今までに取材などでよく聴いたDVDでのサラウンドとは別物ですね。「ドルビーTrueHD」の実力ですか?

編集O:たしかにDVD版と比べると音が格段に良いのがわかります。

編集K:ステレオ再生もじっくり試してみたくなる実力ですね。

意外と盛り上がりを見せる試聴会

意外と盛り上がりを見せる試聴会

 ドルビーTrueHDに代表される、HDオーディオの音質の良さを目ざとく気付いてくれたのは、筆者的にもうれしい。数年前のAVアンプやシアター用スピーカーがHDオーディオ対応となるだけで、音質が良くなったように感じた時代がある。

 それは当たり前の話で、MP3クオリティ音源がCDクオリティ音源に変わった――つまり入ってくるソースが変わったのだから、出てくる音のクオリティも向上して当然だ。だが、単にHDオーディオに対応しただけでなく、AVアンプなどの音の方向も、HDオーディオ時代になって変わってきたと感じる。

 元々のオーディオ信号のクオリティが飛躍的に向上したのだから、オーディオ機器もワイドレンジ化やフラットレスポンス、低ノイズ化といった本質的な実力を重視しなければいけない。

 DVD時代のAVアンプの多くが、映画の迫力をそれらしく感じさせるための低音感の演出といった味付けを加えることが少なくなかったが、現代のAVアンプはかなりHiFiオーディオとしての本質的な実力を備えた音に育ってきたと思う。

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