ただし、Radeonの性能が発揮されるのはAC電源駆動時のみである。バッテリー動作時の場合、SPEEDモードでRadeon HD 6630Mを使っていたとしても、MMDの表示フレーム数を見る限りSTAMINAモードのIntel HD Graphics 3000とそれほど大きな差がない。あいかわらずOpenGLは速いので、モードスイッチのとおりにRadeon HD 6630Mが動作しているのは間違いないようだが、バッテリー動作状態でRadeon HD 6630Mのメリットを感じられるアプリケーションはそう多くはないだろう。省エネ効果を考えれば、バッテリーの持ちがいいSTAMINAモードでの運用を勧めたい。
なお、バッテリー駆動時間は約8~9.5時間となっているが、SPEED/STAMINAモードそれぞれでの駆動時間は明記されていない。CPUやストレージの選択によって変わってくるからだろう。VAIO SAには電圧11.1V、出力4400mAh、容量49Whのリチウムポリマーバッテリーが内蔵されている。裏面カバーを外すと確認できるが容易には交換できない。
そのため底面全体を覆うように装着する別売の拡張バッテリーが用意されている。拡張バッテリーを装着した状態では、本体の高さが23.3mmから32.1mmに、質量も650g増加するが、バッテリー駆動時間は約15.5~19時間に延長される。
最後にオーディオ再生についても触れておこう。BD再生が可能なマシンではあるが、内蔵ステレオスピーカーの音は貧弱で、高音だけが響く。プレインストールされた「DOLBY Home Theater v3」によるエンハンスやサラウンドは効果的だが、さすがにモバイルが主目的のマシンに期待はできないということか。映像コンテンツの視聴には、外付けのステレオスピーカーかヘッドホンを用意したい。
★
VAIO SAは、ビジネスシーンからエンターテインメントまで対応できる、性能を犠牲にしないスリムモバイルである。直販サイト「ソニーストア」での最小構成価格は、キャンペーン適用後で12万4800円から(価格はいずれも本稿執筆時点)。今回の試用機構成では21万7800円とかなり高額だが、1600×900ドット表示の液晶ディスプレーやクアッドSSDの高速性能は、活躍が大いに期待できる。ここぞというときに携帯したい一台である。
VAIO S VPCSA2AJ(試用機)の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-2540M(2.60GHz) |
メモリー | 8GB |
グラフィックス | Radeon HD 6630M、CPU内蔵 |
ディスプレー | 13.3型 1600×900ドット |
ストレージ | SSD 256GB(64GB×4) |
光学ドライブ | 記録型BDドライブ |
無線通信機能 | IEEE 802.11 a/b/g/n、WiMAX、Bluetooth 2.1 |
インターフェース | USB 3.0×1、USB 2.0×2、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅331×奥行き224.5×高さ23.3mm |
質量 | 約1.54kg |
バッテリー駆動時間 | 最大約8~9.5時間 |
OS | Windows 7 Home Premium SP1 64bit版 |
直販価格 | 21万7800円(試用機のCPUがCore i5-2410Mの場合) |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。

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