PENTAXから6月3日に発表されたデジカメ用GPSユニット「O-GPS1」は、天体写真を撮影するカメラマンたちに衝撃を与えた。なぜなら、安いものでも10万円を下らない「赤道儀」を持っていなくても、天体写真が撮影できるからだ。
6月末に販売が始まると2万円弱の手頃な価格も相まって、量販店では6月下旬の発売以来、入荷しても即日で売り切れる人気商品となっている同製品。
天体写真はやったことないが、夏休みなどに挑戦してみたいという人もいることだろう。ということで、プロの天文カメラマンではない、素人同然の筆者が実際に撮影に挑戦してきたので、その模様をレポートしていこう。
天体撮影を可能とした「アストロトレーサー」機能とは?
記事掲載当初、「アストロトレーサー」の名称を誤って表記しておりました。お詫びして、訂正致します。(2011年7月25日)
天体写真の撮影を可能とするのは、O-GPS1の「アストロトレーサー」機能だ。これはPENTAXのデジタル一眼カメラで採用されている独自の手ブレ補正機構「SR(Shake Reduction)」と連動して動作する。
SRは撮像素子が移動するイメージセンサーシフト式手ブレ補正機構で、カメラの傾きと方位をO-GPS1内蔵のGPSと加速度センサー、磁気センサーで判別しつつ、UTC(協定世界時間)によって天体の動きを算出。天体の動きに合わせてセンサーを移動させる、という仕組みだ。
カメラ&レンズ込みで7万5000円~15万円ほど
今回はO-GPS1と、PENTAXのデジタル一眼カメラ「K-5」、レンズキットの付属レンズ「DA18-55mmF3.5-5.6AL WR」を組み合わせて使用した。O-GPS1の実売価格は2万円前後、K-5レンズキットが13万円前後なので、計15万円となる。
天体写真の撮影には、一般的に単焦点の明るい(F値が小さい)レンズを使うことがベストとされているが、今回は基本セットでどこまで取れるか試したかったので、キットレンズを敢えて選ばせていただいた。
O-GPS1は下位モデルの「K-r」でも使用できる。K-rと「DA 18-55mmF3.5-5.6 AL II」レンズのセットなら5万5000円前後とお手頃な価格で購入できるので、O-GPS1を加えても7万5000円で済む。
天体写真の撮影は、長時間シャッターを開いたままにするため三脚が必須アイテムとなっている。今回は友人の所有しているベルボンの「El Carmagne 740」(実売6万3000円前後)とマンフロットの「#410ジュニアヘッドギア」(同3万円前後)を借りたため、少々値の張る組み合わせとなってしまっている。
できれば、少しの風ではびくともしない安定した三脚を使うのがベストなのだが、風が強くなければ1万円前後で購入できる三脚と雲台がセットになったもので十分に撮影できる。
このほか、LEDヘッドライトに赤いセロファンを巻いたものと、星空を確認するためにiPadとアストロアーツから発売のiPad用アプリ「iステラHD」(800円)を用意した。