このページの本文へ

秋の新製品リリースやアジア市場への積極進出にも触れる

アップルが純利益2倍の第3四半期決算—iPhoneとiPadが貢献

2011年07月20日 18時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

iPadがMacの販売に与えた影響は?

 一方で、決算発表会でのQ&Aでは「iPadの登場がMacの販売に影響を与えているのでは?」という質問が飛ぶと、COOのティム・クック(Tim Cock)氏はこの見方を否定し、影響はゼロではないとしつつも「Windows PCが受けた影響のほうが大きいだろう」とコメントしている。

 iPadがMacの販売シェアを奪う「Cannibalizing」(共食い)現象はたびたび指摘されているが、現在のところタブレットで台数が出ているのがiPadだけのため、比較しようがないのが実情だ。ただ確実にいえるのは、MacなどPCカテゴリの販売台数を上回るペースで、スマートフォン/タブレットの市場が急拡大していることだ。

 また、従来アップルが苦手としていたエンタープライズ分野攻略でiPhoneやiPadが大きな役割を示していることに自信を持っており、例えば「Fortune 500企業の多くがiOS採用に向けて動いている」としている。

10〜12月期をターゲットに新製品を用意

 Q&Aのコーナーでは、アップルが第4四半期の業績予測を売上が250億ドル(今期は285億ドル)、Diluted EPS(1株あたりの利益)を5.50ドルとしていることについて、「これはいくらなんでも低すぎないか?」という質問があった。アップルによれば、これは今年後半の「future product transition」(将来の製品移行)を受けたもので、その影響を受けて売上が落ちるとの予告だ。

 現在アップルは、今年9月または10月にiPhoneやiPadなどの新製品をリリースする計画だといわれている。「future product transition」の詳細は明らかにしなかったものの、次の会計年度の第4四半期(7〜9月期)はこの製品リリース時期の直前にあたるため、これら新製品の売上がほとんど含まれないことになる。

秋に登場予定の「iOS 5」、「iCloud」

 「iPhone 5」か、はたまた「iPad 3」かは分からないが、10〜12月期をターゲットにアップルが何か大きな新製品を用意していることが明言されたわけだ。

iPodの販売台数は754万台で、
前年同期比20%の減少

 そしてここまで触れなかったが、iPodの情報も決算報告で明らかにされている。製品の販売台数は754万台で、前年同期比20%の減少。それに対し、同四半期の売上の減少ペースは14%と台数に比べても少なく、どちらかといえば高価格帯の製品へとシフトしている様子がうかがえる。

 これは筆者の予想だが、ユーザーがiPod shuffleやiPod nanoのような製品から、iPod touchへとシフトしている、あるいはiPhoneを買えないユーザーがiPod touchを購入しているのではないかと考えられる。こう考えると、iOSデバイスの影響力がさらに拡大しているともいえるだろう。

(次ページに続く)

カテゴリートップへ

ASCII.jp RSS2.0 配信中