ASCII.jpでも告知記事を掲載していたが(関連記事)、日本Androidの会が7月17日に「Android Bazaar and Conference 2011 Summer」(ABC 2011 Summer)を開催。早稲田大学 本部キャンパスを会場に、酷暑の中、熱いAndroidユーザーが集まって行なわれた。
震災でハッキリしたネットやクラウドの威力
それを活かせないルールの打破が必要
冒頭の基調講演で登壇したのは、Androidユーザーにはおなじみの日本Androidの会 理事長の丸山不二夫氏。丸山氏はまず、3月11日以降に日本で起きたこととして、「ネット、特にクラウドが大事であることがハッキリしたのではないだろうか」と語った。
1995年の阪神・淡路大震災時の代表的なマスメディアはテレビだけだった。当時はケータイの普及率が10%、PCは15%。インターネットにいたっては、ちゃんとした統計すらなかった。ところが現在は、ケータイもインターネットもともに90%を超えている。
実際に東日本大震災では、さまざまなネットの活用が行なわれた。GoogleのPerson Finderによる消息情報の提供、またテレビ局はUstreamによるネット同時配信も行なった。それらのことからわかったのは、「非常時には日常のルールとは異なる行動の規範が現われる」「普段は見逃されている矛盾が露呈される」といった点だ。
たとえば、日本では気象業務法という法律で、気象庁がホームページで公開した気象情報は再利用できない。一方アメリカは公的機関の情報はPublic Domainなので、再利用はビジネスを含めて自由だ。こういうオープンな姿勢は見習って、ネットやクラウドを活用した新しいサービスや災害対策を展開していくよう叱咤した。
Android普及率で世界の先頭近くを走る日本
この日本の優れた環境を若い人こそ活かすべき
一方で日本では、世界よりも有利な状況も生まれつつある。それがAndroidの急速な普及だ。Androidは世界的にも普及が加速しているが、日本ではさらに速い。今年は国内携帯販売台数の過半数がスマートフォンになろうとしており、さらにその中のシェアでも「今後もiOS端末をソフトバンクが独占しているのであれば、2012年にはAndoridが(国内スマートフォン販売シェアで)70%を上回るのではないか」と予測。これはiPhoneやBlackBerryが強いアメリカの数字を大きく上回る。
それにも関わらず、日本でAndroidに古くから携わっている開発者には「Androidはスマートフォンの中で2位」という意識があるのではないかと丸山氏は見る。現実にはそうではなく、国内で近い時期に2000万台の市場ができようとしていることを意識してサービスなどを展開していかねばならないとする。そして、スマートフォンが普及し、おサイフケータイが広く使われ、ネットワークインフラも一流という日本の環境の中で、新しいビジネスモデルを若い世代が考えてほしいと講演を締めた。
Palmの神様+アスキー総研所長による
PDA昔話で盛り上がる
午後には、アスキー総合研究所・所長の遠藤諭も登場。“Palmの神様”山田達治氏と、PDAの歴史を振り返りつつのトークを展開。Androidの父とも言えるアンディ・ルービン氏がDanger時代に開発したT-Mobile「Sidekick」(MENUキーもBackキーもすでにある)、世界初のスマートフォンとも言える(?)、Palmと携帯電話が一体化したクアルコム「pdQ Smartphone」などの端末が登場。
さらにアップルの「Newton」と最新タブレットの「GALAXY Tab」は実は同じくらいの大きさだった(厚みが全然違うけど)、「PDAは売り方に困ると、(メーカーは決まって)ゲーム機とかミュージックプレーヤーとか言って売ろうとする」といったネタ話も含めて、会場を沸かせた。
そのほか、プロ&アマのAndroid開発者による各種展示が行なわれた「Bazzar」会場なども含めて、Androidユーザーによる真夏のお祭りは大いに盛り上がった。