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理念あるリニューアルで前年比140%のYシャツ店 (3/3)

2011年07月13日 10時01分更新

文●三浦たまみ

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「理念」の見直しから再出発

 サイトのリニューアルに際して柳田さんたちがまず見直したのは、商品の分類でもデザインでもなく、会社の理念だった。理念とは、会社のあるべき姿。ozieに当てはめれば、「ワイシャツという商品を通して、ozieがお客さんに何が提供できるか」を追求することになる。

 理念は、会社の土台ともいうべきものだ。新商品の仕入れを検討するときも、既存商品の取り扱いを見直すときも、理念に照らし合わせれば、やるべきか、やめるべきか、自ずと答えは出るし、商品のラインアップにもブレがなくなる。当然、会社の姿勢にも一貫性が出る。それを、サイト作りに反映させていくことが肝心なのだ。

ozieを象徴する商品の1つが「ドレス仕立ての鹿の子シャツ」。一般的にはポロシャツで使われることが多い素材を使ったシャツで、大ヒット商品になった

 柳田さんは、2002年のオープン当時から、ワイシャツ=伝統的という固定概念に囚われず、もっと自由な発想で商品を提供したいと思っていた。伝統をきわめて重んじるシャツ業界では異色のことだ。

「シャツは、もともとイギリスで正装時の下着として生まれ、スタイルや着こなしには伝統的なルールが残っています。その良さは残しつつ、現代のファッションに合うシャツを模索したかったんです。日本では、シャツの代表格といえば、サラリーマンが背広の下に着るワイシャツですよね。いまだに、『どうせ、たいして見えない部分だから』と、消耗品感覚で購入する人は大勢いらっしゃいます。でも、毎日着るものだからこそ、ワイシャツを“選ぶ楽しみ”を提案したいと思いました」

 最近は、クールビズの影響で、「吸汗、速乾」素材が広く認知されるなど、機能面でワイシャツがクローズアップされることが増えた。また、年間を通じてクールビズが常態化していることから、ノーネクタイに合うシャツを探す人も出てきた。ワークスタイル、ライフスタイルはどんどん変化する。そうした状況に臨機応変に対応しつつ、デザイン性に優れたおしゃれなシャツを提案していきたい――。

 柳田さんは、この思いを理念に込めた。

――自由で快適なシャツスタイルの提案を通じて、ライフスタイルの変革・改善に貢献します――

 ozieを再構築するうえで、揺るぎない土台ができあがった。

 だがもう1つ、柳田さんたちにはサイトを構築し直す前にやるべきことがあった。それが、自社の強みを徹底的に考え抜くことだった。(続く)

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