「3D元年」と言われた2010年は、3D対応のテレビやBlu-ray Discレコーダーがどんどん市場に投入され、「プレイステーション 3」や「ニンテンドー3DS」で3Dゲームが堪能できる。今や「3D」という言葉や体験は身近なものとなった。
しかし、3Dを見るための機器が身近になったか、と問われると、実はそうでもない気がする。3Dテレビは一時期よりは安くなったとは言え、今でも10万円近くはする高級品だ。
そこで注目したいのが3D対応の液晶ディスプレーである。23型などお手頃サイズで、お値段もやっぱりお手頃。実売4~5万円という、格安液晶ディスプレーと高級機の中間ぐらいのお値段で購入できるのが魅力だ。というわけで、最終回となる今回は3D対応液晶ディスプレーを紹介する。
3Dディスプレーには2種類の方式がある!
まずは液晶ディスプレーの3D表示方式をざっくりと解説しよう。液晶ディスプレーの3D映像表示方式には大きく分けて2種類があり、どちらも一長一短で画質や価格に大きくかかわるのだ。
ひとつは、液晶テレビで主流の“フレームシーケンシャル”方式。これは画面に交互に表示される右目用/左目用の映像を、3Dメガネの右目/左目の液晶シャッターを交互に閉じることで分離し、立体視を行なう方式。
もうひとつは映画館などで主流の“偏光”方式。こちらは右目用/左目用の映像をひとつの画面に同時に表示し、液晶パネルのフィルターで右目/左目用映像を分離。これを3D用の偏光メガネで見ることで立体視が行なえる。
3Dメガネを使うのはどちらも同じだが、注目したいのは画面への3D映像の表示方法。フレームシーケンシャル方式は“交互に表示”するため、3D映像をフルHDで表示することが可能で、フルHDの3D映像を表示した時は偏光方式では得られない精細感がある。
反面、3Dメガネに“液晶シャッター”という機構を内蔵しなければならず、その分メガネの構造が複雑になり、重量が重く、価格も高価になる。
偏光方式は3D映像を画面に“同時に表示”する――つまり、フルHDの画面に右目用/左目用の映像を2つ同時に表示するため、当然映像の解像度は半分になり、精細感が失われてしまう。しかし、メガネの構造を単純化でき、低価格化しやすいのがメリットだ。
ざっくりばっさり説明すると、フレームシーケンシャル方式は(原理的に)高くて高画質で、偏光方式は(原理的に)安価だけど画質は今ひとつなのだ。しかし、どちらの方式もメーカーは創意と工夫で弱点を克服しようとしている。その方法にも注目したい。
お手頃価格で3D入門に好適
LGエレクトロニクス D2342P-PN
実売2万円台という破格の値段が魅力。3D映像表示は偏光方式で、3Dメガネが2セット付属する。ユニークなのは、そのうちのひとつがメガネに装着する“クリップオンレンズ”になっている点だ。
クリップオン式の3Dメガネを通常の(視力矯正用)メガネに装着することで、“メガネonメガネ”という付け心地の悪さと、メガネどうしが重なることでこめかみがしめつけられることから解放されるのがうれしい。
3D映像は明るく見やすい。しかし、やはり解像度の低下が実感できるほか、偏光方式の弱点として像が二重に見える“クロストーク”が目立つのが気になるところ。
なお、2D→3D変換が可能なPC用ソフト「TriDef 3D」が付属し、既存の(2Dの)PCゲームを立体視でプレイすることなどもできる。
パネルはTN方式ながら、斜めから見た時の色味変化がやや少ないように感じた。表面が半光沢的な処理で、映りこみがそれほど多くないのも好印象。設定ボタンは最近では少数派の物理的なボタンスイッチを採用している。
しっかり押せて反応も確実だが、見た目の古めかしい印象は好みの分かれるところか。工場出荷状態での実測消費電力は約38Wだった。
D2342P-PNの主なスペック | |
---|---|
画面サイズ | 23型 |
解像度 | 1920×1080ドット |
液晶パネル | TN |
入力端子 | HDMI×1、DVI-D(HDCP対応)×1、D-Sub15ピン×1 |
スピーカー | ―― |
サイズ | 幅546.4×奥行き179.3×高さ407.3mm |
重量 | 約3.5kg |
実売価格 | 2万8000円前後 |
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