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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第64回

KAOSSILATOR×にんげんがっき開発者対談

最近のおもちゃが電子楽器に似ているのはなぜなんだ?

2011年07月09日 12時00分更新

文● 四本淑三

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利益を得る用途がないこと

―― 商品企画の仕事って、一般には良く分からないんですが、和田さんはどんな風に仕事をされているんですか?

和田 私は自分で設計もプログラムもできないんですが、自分で仕様書を作ってプログラマーさんに組んでもらったり、どういう音が必要かをリストアップして、そういうのを集めてくれそうなスタジオに相談しに行ったり。

坂巻 じゃあ設計のこととは分かってらっしゃるんですね。

和田 いえ、分かっているに越したことはないんですが、やりながら覚えていくっていう感じですね。坂巻さんは社内プレゼンの前に試作はしますか?

設計のことはやりながら覚えていくという和田さん

坂巻 やったりやらなかったりですね。「monotron」は、30年くらい前になくなったアナログシンセサイザーの音を現代に復活させましょう、ただし5000円で、という企画でした。この場合は音が価値だったので、プレゼンで音を鳴らして「この音でやります」と言ったら、社長が「その音ならいい」と言ってくれて。

和田 こういうのを買われる人って、どういう人なんでしょう? ミュージシャンだったり自分で音楽を作る人だったり?

坂巻 楽器って、普通のキーボードだと仕事に使えるので、それで利益を得られたりするんです。だけど、それを目的にしない人達がすごく居る。おもちゃって具体的に利益を得る用途ってないじゃないですか。それで遊ぶこと自体が目的で。

「おもちゃって具体的に利益を得る用途ってないじゃないですか」(坂巻さん)

和田 あ、そうですね。一眼レフと、トイカメラの違いみたいな?

坂巻 ホビー用一眼レフと、プロ用一眼レフの違いみたいな。

和田 簡単で、感覚的で、味があって、個性もあるという。

坂巻 monotronは本当に味の部分だけで勝負したらどうなるか、というので作ったんですね。

―― 和田さんも相当ユニークなものを作られていますけど、苦労はされてませんか?

Image from Amazon.co.jp
Musical Saw Instructional Video

和田 おもちゃの枠を越えた新しい商品を企画することが多いんですが、面白さの追求だけでなく、売る場所を想定しないとダメですね。

坂巻 楽器にも面白いものっていっぱいあるんですよ。僕がよく引き合いにだすのが、ミュージックソーという楽器、ノコギリを弾いちゃうような。あれは見て面白いんですけど、売られていたら買うかといえば、普通は買わない。面白い楽器って、そんな風になりがちで。

和田 アイデアが素晴らしいのと、売れるのは全然別問題ですよね。

(次ページに続く)

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