モバイル端末におけるマカフィーの強み
マカフィーの強みとして、柔軟なカスタマイズに応えられるという点がある。社内ではパソコン以外の端末を「Beyond PC」と呼んでいる。マルチデバイスに対してセキュアーな環境を提供することがカギになるが、特にフォーカスしているのがモバイルだ。スマートフォンなどモバイル端末へのアプローチは去年の夏~秋口に開始している。
検出エンジンと定義ファイルの組み合わせでマルウェア対策を行なう点はパソコンでもモバイルでも変わらないが、要求される内容は実は大きく違っている。例えば、モバイル端末に特有のマルウェアに対応し、機能は削らず、サイズや動作を軽くしなければならない。消費電力をいかに少なくするかも重要だ。このあたりのノウハウはキャリアとの連携の中で培ってきた。
ソフトバンクがマカフィーを採用したのも、この点を評価したためだ。
国内キャリアのQA(品質保証)は厳しいので、研究開発に投資し、品質を維持しなければならない。McAfee Labには現在、世界40ヵ国で400名が在籍しているが、それとは別にモバイル専任の研究者がいる。日本、中国、アメリカなど50以上だ。ここではキャリアや端末メーカーの要望に合わせた、アンチウイルスソフトのカスタマイズができる。ここが他社ベンダーとの大きな違いだろう。
エンジン自体は共通だが、UIやオペレーション方法などに細かな要望がある。例えば1回でダウンロードさせたいとか、2つの異なる機能を一緒にインストールさせたいといったものがそれだ。
マカフィーにはアンチウイルスソフト「VirusScan」以外にもリモートロックが可能な「WaveSecure」など様々なソフトがある。これらをバラバラに提供することもスイートという形で、ひとつの製品として提供することもできる。
さらにそれをどうやってダウンロードさせるか、2回のステップにするか1回のステップで実行させるかなど、裏の処理をしっかり加工することができる。Androidマーケットで言えば、ポータルサイトに製品を載せるのか、携帯の中にアイコンを仕込んでそこからダウンロードさせるのかでもユーザーに対する見え方が変わってくる。
パートナーにはそれぞれのこだわりがあり、マカフィーはそれを実現できる仕組みを提供できる。これが大きい。
他社の製品でも、メール、SDメモリーカード、アプリケーションをスキャンし、ウイルス感染をチェックするといった機能を持っていると思う。しかし、Android向けの不正プログラムはどんどん発生しており、現在では約90件ものマルウェアが存在している。
実はすべてのベンダーの製品で、これらのマルウェアを駆除できるわけではないが、マカフィーはすべてに対応している。
今のところは愉快犯が多く、直接的な被害には結びついたケースはまれだが、Androidでいえば、感染したアプリケーションをダウンロードして、動かし、知らない間にEメールや携帯番号が漏れているケースもある。具体的な詐欺被害になっていないだけで、危険な状況であるのは変わりない。