今回は久々にCPU製品のロードマップアップデートである。AMD CPUに関しては連載93回にて、Zacateベースの「AMD E」シリーズと「AMD C」シリーズの発表にあわせて更新したが、6月30日にようやく、「Llano」こと「AMD A」シリーズが正式に発表された。
また6月7日には、「AMD FX」というブランドで、「Bulldozer」コアの製品が投入されることも明らかにされた。そこで今回は、2011年のAMDデスクトップ向け製品について解説したい。
ようやく登場したLlano
2コア版はやや遅れて7月中?
まずはやっと発表されたデスクトップ向けのLlanoこと、AMD Aシリーズである。6月30日には製品の性能情報も公開され、7月3日には販売も開始される。ようやくLlanoを利用できる環境が整ったことになる。
当初発表されたのは「A8-3850、3800」と「A6-3650、3600」の4製品。3日から販売されるのは、TDPが100Wのハイエンド製品であるA8-3850とA6-3650である。モバイル向けはTDPが45Wということで、動作周波数も2.4GHzそこそこに抑えられていたが、デスクトップ向けはほぼ3GHz近くまで動作周波数を上げている。
製品の特徴などはモバイル向けとまったく一緒であり、違うのはCPUコアやGPUコアの動作周波数のみとなる。パッケージは新しい「Socket FM1」を採用しており、既存のSocket AM3からのアップグレードは不可能だ。GPUを統合したことで、映像出力などのピンが追加されているから、これは致し方ない部分である。
さてこのAシリーズ、当初はA8とA6以外に「A4」シリーズおよび「E2」シリーズも発表されると予想されていたのだが、これらはやや先送りになってしまった。
A4はCPUが2コアで、GPUも160SPになった製品である。既存のコアの一部を無効化して出荷するのではなく、新たに2コア/160SPのダイを作ることを計画しているようで、これもあって多少遅れているのかもしれない。ただし、出荷される全量が2コア/160SPの新ダイではなく、4コア/400SP構成のダイの一部を無効化したものも混在すると見られている。これは歩留まり対策のためで、ダイの一部に欠陥がある製品でも欠陥部分を無効化すれば出荷できるからだ。
しかし、当初想定していたよりもLlanoの歩留まり率は良好なようで、結果としてA4/E2シリーズに十分に製品を回せるほどにはなっていない。というよりも、相対的に高価格で販売できるA8/A6シリーズで販売したほうが得策、という判断であろう。
また、これは未確認情報ではあるが、「A4-3400、3300」はもっぱらOEM向けで、店頭で販売されるのは「E2-3200」になるという話がある。このあたりは市場の動向ひとつでどうにでもできる範疇なので、最終的にどうなるかは筆者にも読みきれない。このA4/E2に関しては、「7月中に一応製品発表をする」という話も聞こえてきている。だが、当初はA8/A6と同じタイミングで発表という話だったはずなので、逆に同時発表されなかった時点で、もう少し先送りになる可能性も残っている。
ちなみに余談であるが、AMDはFusion系列製品から、従来の「Shader Processor」(SP)という呼び方を「Radeon Core」(RC)に切り替えた。これは純粋にマーケティング対策で、「GPUのShaderとは何のことかわからない」といった、それほどPCに詳しくないユーザーにもアピールするためという話だ。中身としては同じものなので、ロードマップ図では引き続き「SP」と表記している。
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