発売直前の最高峰ブックシェルフスピーカー
DYNAUDIO Confidence C1 Signatureを聴く (2/4)
2011年07月12日 09時00分更新
Signatureモデルは、落ち着いた上質感ある外観に
C1はブラックのバッフル面と白木の対比が個性的で、シュールレアリズム絵画のような独特の雰囲気を醸し出していた。
一方Signatureモデルでは、ダークブラウン(Mocca)とレッドブラウン(Bordeux)の2色が採用されている。これは同社が30周年モデルとして2007年に1000セット限定で販売された「Sapphire」(220万5000円)でも用いられていた特別仕上げ。音を聴く前に、その外観の美しさに参ってしまった。
デモ機のカラーはバッフル面と色の近いMoccaだが、これが大変落ち着いていて好印象である。斑状にあしらわれた木目の化粧板も上品だし、引き締まった濃色であるため箱のスリムさが際立つ。フロント部分のDYNAUDIOロゴもシンプルな単色となったため、さらに現代的な印象が強まっている。
もう少しじっくりと見るために近付いてみると、背面には署名入りのプレートがあしらわれていた。スピーカーターミナルは当然のように「シングル」。
最近のブックシェルフスピーカーでは、低域用と高域用に別々のケーブルを取り付けられる「バイワイヤリング」用ターミナルが増えているが、DYNAUDIOは、頑なにシングルワイヤリングにこだわっているメーカーのひとつだ。
ディストリビューター(代理店)からは流行のバイワイヤリングにも対応できるようにすべきという意見があったそうだが、DYNAUDIO本社のチーフデザイナーは「他社はネットワークに自信がないのだろう」と軽く退けた。5ウェイの最上位機「CONSEQUENCE」でも、端子はシングルというから、そのこだわりようが分かる。
C1 Signatureでは、上方に直径17cmのケイ酸マグネシウムポリマー製ウーファー、下方にはEsotar2と呼ばれる28mmのファブリックドームツィーターを配置している。「イチにもニにもくせがない」という同社のサウンドを支える自社製ユニットだ。
信号をこのユニットに振り分けるネットワークは一次フィルターのみのシンプルな構成で、位相補正などもかけていない。音の鮮度という意味では経由する回路はなるべくシンプルなほうがいいが、それができるのは知り尽くした自社製ユニットを使い、ユニットの取り付け位置まで厳密に管理したキャビネットまで自社で開発・製造できるという強みが生きているためだろう。
DYNAUDIOは、ローエンドのDM/Excite/Focusなどはキャビネットなど一部の部品を外注から調達しているものの、Contour以上の上位モデルはすべてが自社製造。これも最近では稀有な存在だ。
ちなみにConfidence C1 Signatureは、全数検査の上で出荷され、保証期間は10年。保証が切れ、在庫のストックが尽きても、過去の製品のユニットやネットワークの仕様はすべて残されており、仕様にあったパーツをすぐに作って本国から送ってもらえるというから驚きだ。
このあたりは、大量生産品を外部から受注する他メーカーでは中々難しいことのはず。on and onではこういった薀蓄話を語れるDYNAUDIO JAPANのアドバイザーが常駐しており、製品の価値を実感できる。
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