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最大20人で1台のPCを共有、ひとりあたり約2万円から導入可能

日本HP、MultiSeat Computingの性能強化

2011年07月01日 09時00分更新

文● TECH.ASCII.jp

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1台のマシンを複数のユーザーで同時に使えるMultiSeat Computing。Windows 7と同等の機能を安価に利用できる

 日本ヒューレット・パッカードは6月30日、「HP MultiSeat Computing」の新製品を発表した。ホストPCのOSに最新のWindows MultiPoint Server 2011を採用したほか、基本スペックや設置性、使い勝手などを高めた。

 MultiSeat Computingは、1台のホストPCを複数のユーザーが同時に使えるるソリューション。専用クライアント端末とホストPCはUSBでつなぐ(関連記事)。学校や小規模なオフィスなどがターゲットで、1ユーザーあたり2万円程度の非常に安価な価格で、Windows 7とほぼ同等の機能を10人/20人が同時に使えるパソコン環境が手に入る。

HP MultiSeat ms6200とt150

 今回発表されたのは、ホストPCの「HP MultiSeat ms6200」と、クライアント機器(アクセスデバイス)の「HP t150 Thin Cleient for MultisSeat」、そしてこれらと一緒に使うと便利な18.5型ディスプレー「HP LE1851WT Thin Client」の3機種。

 母艦となるMultiSeat ms6200には“Essential”と“Extended”の2種類があり、スペックの違いは下記のとおり。CPUが第2世代Core iシリーズにスペックアップし、Core 2世代の従来機より大幅に高速化。同時接続できるユーザー数も増えている。

MultiSeat ms6200の価格
タイプ 価格 OSの
エディション
同時接続
人数
主なスペック
Essential 10万8000円 Standard 10名 Core i5 2400/
4GBメモリー/500GB HDD/記録型DVD
13万8000円 Premium 20名
9万9000 Academic 20名
7万8000 VL向け ──
Extended 12万8000円 Standard 10名 Core i7 2600/
8GBメモリー/500GB HDD/記録型DVD
15万8000円 Premium 20名
11万9000円 Academic 20名
9万8000円 VL向け ──

 クライアント機器(t150)に関しては、サイズやデザインは従来機種と同様だが、ユーザー専用のUSBポートが2系統用意されたほか、5台までのデイジーチェーン接続(数珠つなぎ)に対応し、よりシンプルな設置が可能になった。電源はホストPCからUSBバスパワーで供給されるが、長いUSBケーブルを使用する場合やデイジーチェーン接続する場合に備えて、ACアダプターのオプションも用意されている。

LE1851WT

 MultiSeat Computingではこのクライアント機器にディスプレーやキーボード/マウスなどを接続して利用することになるが、その際に組み合わせやすいディスプレー(LE1851WT)も用意されている。ディスプレー側で取った電源をt150に供給したり、モニターマウントに便利な短尺のケーブルが同梱する点などが特徴となる。

ディスプレーの背面にt150を装着したところ(左)、t150接続+給電用のUSBコネクターを用意している(右)

 今回の新製品は、すでにMultiSeat Computingを導入済みの環境に混在して設置することが可能。ただし、Windows MultiPoint Server 2011を採用したことにより、いくつかの機能改善が得られる。特に1台のパソコンを複数のクライアント機器から操作するという仕組み上、止むを得なく発生していた制約を回避できる点が大きい。

t150と従来のクライアント機器。サイズは変わらないが、USB 2.0ポートが2つ追加されるなど違いが分かる

 例えば従来製品ではクライアント機器にUSBメモリーを差すことができず、ホストPC側に差した場合はつながったクライアント機器すべてから参照できてしまうという制約があった。またIPアドレスはホストPC用に1つ割り振られるだけなので、一部動作しないアプリケーションがあったという。今回の新製品ではこうした制約がなくなった。

 また学校などでの利用を想定して、MultiPoint Managerというソフトを使うことで、ホストPCにつながった全クライアントの画面をサムネイルで一覧できるようになっている。さらにホストPCの設定変更やシャットダウン操作を一括して行う機能も利用できる。また、Remote FXをサポートするので、USBだけでなく有線LAN経由でホストPCの共有が可能になる。

MultiPoint Manager。右は接続しているクライアントの画面をサムネイルで表示したところ

左は管理者側からデスクトップを大きく表示したところ。授業と関係のない作業をしていたり、質問があったりした場合にはチャットで応えることもできる

 ホストPCのOSとなるMultiPoint Server 2011にはStandardとPremiumの2種類のエディションが用意されており、Standard版は最大10ユーザー(ドメイン参加不可)、Premium版は最大20ユーザー(ドメイン参加可能)の同時接続が可能。

 従来は一般顧客にはStandard版、アカデミック顧客にはPremium版という切り分けがあったが、今回から一般顧客でもPremium版の選択が可能となった。ライセンスはさらに、OEM版とボリュームライセンス版の2種類が選べる。OEM版は本体にMultiPoint Server 2011がプレインストールされた状態で出荷されるが、ボリュームライセンスを利用したい人に向けて、FreeDOS版も用意されている。

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