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週刊 PC&周辺機器レビュー 第107回

3D変換機能を内蔵 スタイリッシュな27型液晶 S27A950D

2011年06月24日 12時00分更新

文● 石井英男

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Bluetoothで同期する
アクティブシャッター式3Dメガネを採用

付属のアクティブシャッター方式3Dメガネ。ボタン電池を採用し、かなり軽くできているので長時間装着しても疲れにくい。駆動時間は約70時間

 前述したように、S27A950Dでは3D表示方式として、独自のアクティブシャッター方式を採用しており、専用の3Dメガネが付属する。アクティブシャッター方式の場合、ディスプレーの表示タイミングと3Dメガネの液晶シャッター開閉タイミングを同期させる必要がある。

 S27A950Dの「3D Hyper Real Engine」では、ディスプレー本体と3Dメガネとの通信をBluetoothによって行なう点が特徴だ。ディスプレー外部にトランスミッターを接続する必要がないので、設置もスマート。赤外線方式の3D Visionと異なり、トランスミッターと3Dメガネの間に遮蔽物があっても、問題なく利用できることも利点だ。

 付属の3Dメガネは、ボタン電池で約70時間の動作が可能。重量もかなり軽いため、装着感も良好だ。メガネの外観もすっきりした印象である。なお、オプションとして最大約40時間の動作が可能な、USB充電式の3Dメガネも用意されている。

3D表示の画質も優秀

 パソコンとS27A950DをHDMI経由で接続して、BD 3Dタイトルの「Ocean Wonderland 3D」を再生してみた。グラフィックスカードにはGeForce GTX 550 Ti搭載カードを、再生ソフトには「PowerDVD 11」を使用した。

 BD 3Dの映像が入力されると、S72A950Dでは自動的に3D表示が有効になる。アクティブシャッター方式の場合、右目用と左眼用の映像を交互に切り替えて表示するため、リフレッシュレートが高くないとちらつきを感じやすくなる。S27A950Dのリフレッシュレートは120Hzであり、3D表示時でもちらつきはあまり感じず、輝度も十分であった。

 BD 3Dは元々3Dで作られたソースだけあり、立体感は高く、画面からかなり手前まで立体的に見える。クロストークもほとんど感じられず、偏光方式とは違って解像度も落ちないため、快適な3D表示を楽しめた。次に、サイドバイサイド方式のYouTube 3Dの映像を表示させてみた。こちらは、S72A950D側の3D設定で「サイドバイサイド」を選ぶ必要があるが、問題なく3D表示が可能であった。

 S27A950Dは、2D映像をディスプレー側で3D映像に変換する「2D→3D変換」機能を搭載していることも大きな魅力だ。3D設定で「2D→3D」を選択すると、2D→3D変換機能が有効になる。3D変換のデプス(立体感の深さ)は1~10まで10段階に設定が可能だ。

 2DのBDタイトルやDVDタイトルで試してみたところ、最近のアニメや実写系映画は、比較的自然な立体感が得られた。もちろん、BD 3Dタイトルに比べると立体感は弱いが、DVDプレイヤーソフトの2D→3D変換機能と比べても、遜色はない。一般の動画ファイルや静止画ファイルも3D化が可能である。

 ただし、「ルパン三世 カリオストロの城」のような古いアニメ映画をBD化した作品では、3D変換機能を有効にすると画像の揺れが大きくなってしまい、見にくくなる場合があった。変換機能が適さない映像もあるようだ。なお、ゲームソフトについても付属の変換ソフト「TriDef 3D」による3D表示が可能であるが(対応ソフト以外ではうまくいかないこともある)、TriDef 3Dを利用せずにディスプレー内蔵の変換機能でも、ゲームの3D表示は可能である。とはいえ、これも3D Visionのようなグラフィックスドライバー側での変換に比べると、立体感の効果は低い。

さまざまなソースを3D表示したい人に最適

 S27A950Dはスタイリッシュなボディーがまず目を引くが、液晶ディスプレーとしての基本性能は高く、画質や省電力機能も優れている。さらに、独自の3D Hyper Real Engineによる3D表示の表示品位も満足できる。3D Visionとは異なりトランスミッターが不要なので、使い勝手もいい。

 HDMI 1.4に対応しているため、パソコンだけでなくプレイステーション3やBDレコーダーなどのBD 3D対応機器を接続するだけで、BD 3Dを高画質な3D表示で楽しめる。さらに、BS11やYouTube 3Dのサイドバイサイド方式の3D映像にも対応するほか、内蔵の2D→3D変換機能により、2D映像も3D化して楽しめる。昔撮影した家族のビデオなども、3D化するとまた新鮮な印象を受ける。

 27型とサイズがかなり大きく、実売価格も7万円台とやや高いが、その分映像の迫力は大きい。さまざまな映像ソースを3Dで楽しみたいという人にお勧めの製品だ。スペースの都合などで「もう少し小さなサイズの製品がいい」という人には、姉妹機の23型「S23A950D」をお勧めしたい。

S27A950D の主な仕様
パネルサイズ 27型ワイド(グレアタイプ)
解像度 1920×1080ドット
視野角 左右170度、上下160度
最大輝度 300cd/m2
コントラスト 1000:1
応答速度 2ms
映像入力 DisplayPort、HDMI、DVI-D
サイズ 幅621×奥行き185.5×高さ474mm
質量 約5.9kg
価格 オープンプライス(実売価格 7万3000円前後)
■Amazon.co.jpで購入

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