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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第73回

GPU内蔵ドックで新生! 新VAIO Zをフォトレビュー

2011年07月05日 10時05分更新

文● 西田 宗千佳

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「高級感」「剛性」の高い作り
用途に合わせたBTOの広さも魅力

 合体系ギミックが目立つZ2だが、実際に試作機を使ってみて感じたのは、むしろ「作り」の良さだ。

 最近は起動速度を誇るノートPCが増えているが、Z2もその類に漏れない。テストした店頭販売モデルでは、RAID 0構成のSSD(容量128GB)を搭載しているのだが、読み込み速度はさすがに速い。起動速度は最速の構成の場合、最終的には13秒程度になる予定だという。

 キーのタイプ感も良好だ。特に気に入ったのはキーボードライト。キーの下から盛大に照らす形式ではなく、キーの文字部だけが浮き上がるような光り方に変わったため、高級感は増している。タッチパッドは大きさもちょうどよく、触感もいい。ただ、相変わらずマルチタッチ機能だけはオマケ的な使い勝手の域を出ておらず、もう一息がんばってほしいと感じる。

キーボードは、VAIOでは標準となったアイソレーションタイプ。配列も標準的で、タイプ感も十分いい

キーボードライト点灯時。かなり上品で見やすい表示だ。無駄な光漏れが少ないのが好印象

タッチパッド。本体デザインのコンセプト「ヘキサシェル」に合わせた六角形の細かな地紋が入っており、操作性はいい。ただし、マルチタッチ機能の感度や使い勝手には、もう一工夫必要と感じる

 ヒンジや天板に「弱々しさ」を感じないのもうれしい。薄い筐体ではあるが、各部は非常にしっかりと作られており、たわみやゆがみはまったく感じられない。この点はどこか華奢な印象を受けたXシリーズとは大きく異なり、Zシリーズの伝統を受けついでいる。

 薄い、というイメージが先行しがちだが、むしろZ2で開発陣が狙ったのは、おそらく「13型クラスとしてのバランスの再検討」だろう。パワーを落とさず、カバンの中で収まりのいいモバイルを目指すなら、このデザインは正解だ。その結果、価格は従来のZシリーズと変わらない高価なものになり、Xシリーズの持っていたお手軽さは失われたが、その分「価格なりの高級さと頑丈さ」を手に入れた。

 「合体モデル」的な要素を考えると、この製品はむしろCTOモデルに本質がありそうだ。店頭販売モデルでのディスプレーは1600×900ドットで、13型としては標準的な解像度だが、画質面では文句がほとんどない。これ以上の解像度を求めるならば、CTOで1920×1080ドットのパネルを選択すべきだ。より高性能なCPUやPower Media Dockの必要性(CTOではDockなしも可能)、さらには搭載する光学ドライブの種類など、選びたい部分はいくつもある。選択肢の広さも、この製品の特徴のひとつといえそうだ。

 あとは、新顔デバイスであるPower Media Dockの安定性や活用の度合いが気になるところだ。このあたりはその構造も含めて、製品版の機材で詳しいところを確認してみたい。

お勧めする人
・薄くて高級感のあるモバイルノートを探している人
・「合体」「新機軸」に萌える人

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)。最新刊「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)が発売予定。

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