四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第62回
U-zhaan×レイ・ハラカミも遊んだ“手乗りドラム”
バスドラ+スネアで1kgって!? 本格プチ楽器「WAVEDRUM Mini」
2011年06月25日 12時00分更新
リアルな演奏のニュアンスを再現する理由
―― そのセンサーの話なんですが、WAVEDRUMはデジタルなのに、演奏のニュアンスをアナログ的に拾うのが驚きです。一体どうなっているんでしょう?
本橋 初代も、2009年に出たWD-Xも基本的には一緒なんですが、ヘッド(ドラムの皮)の下にラバーのクッションが入っていて、その下に圧力センサーが入っている。そしてピエゾのピックアップがいくつか付いています。
―― WAVEDRUM Miniの構造とはどこが違いますか?
西掘 圧力センサーは入ってないです。
本橋 ピエゾで叩いた音をピックアップしているだけなので、箱にパッドが付いているだけとも言えますね。
―― ピエゾのピックアップ自体はありふれたものなので、センサー部分は誰でも作れるものだったりしますか?
本橋 誰にでも作れると思います。特別なセンサーを使っているわけではないので。ただWAVEDRUMで重要なのは、センサーではなくて、センスした信号をどう扱うかというところなんです。
―― そこがすごく興味深い部分ですね。
本橋 センサーにも加速度を検出するものとか、いろんな種類がありますよね? それで拾える情報の種類は増えるんですが、コントロールの仕組みも複雑になっていく。すると楽器に対する人間の行為と、それに対応して得られる結果は、必ずしもイコールにならない。単純なセンサーの情報量を、できるだけ使い切っていくような形のほうが正しいんじゃないかなと思っているんです。
―― ではピエゾで得られる音声信号をどうやってパーカッションの音色に変換しているんですか?
本橋 たとえばデジタルリバーブは、部屋の大きさとか壁の材質を考慮して、残響をシミュレーションしますよね。そのシミュレーションする部屋の大きさを、どんどん小さくしていくと、太鼓のシェル(胴体)になるんです。それにある程度シミュレーションした皮が張ってあって、そこにピエゾで拾った音を入れると、出てくる音は太鼓になっている、というようなものです。
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