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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第106回

バスの歴史を振り返る XT Bus~ISA Bus編

2011年06月20日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 厄介なのは、IRQ周りの拡張である。IBM PCやIBM PC/XTでは、IRQの管理にインテルの「8259 PIC」(Programmable Interrupt Controller)というチップを使っていた。これは最大8本までのIRQ信号を管理できるチップだが、IBM PC/ATでは接続するデバイスが増えたので、これでは足りなくなる。

 そこでIRQ信号を合計16本に増やし、8259を2つ利用するようにしたのだが、その接続は図9のようになっている。上側の緑色がIBM PC/XTから継承したもので、下側の水色がIBM PC/ATで拡張された部分である。

図9 PC/ATでのIRQの割り当て

 IBM PC/XTとの互換性を保つためには、最終的に信号線をひとつの「INTR」(割り込み出力)にまとめる必要があった。そのため拡張された8259のIRQは、INT 2を共用するかたちで実装された。ちなみに追加されたIRQは以下のように割り当てられている。

8 RTC(リアルタイムクロック) 12 PS/2マウス
9 未使用(IRQ2と重複) 13 FPU(i80287)
10 汎用 14 IDE1
11 汎用 15 IDE2

 ISA BusではDMAコントローラーも強化された。「0/5/7」の3種類のDRQ/DACKが追加され、合計5つのDMA転送が可能になった。

CPUの速度向上に
追従できなくなるISA Bus

 このISA Busもまた、当時のCPUと同じ速度で動いた。そのため当初は6MHz、後追いで8MHzに高速化された。しかしインテルは最終的に、i80286の速度を12.5MHzまで引き上げており、さらにAMDの互換チップは最終的に25MHzに達した。流石に25MHz製品が出てくる頃にはマーケットが「i80386」に移行しつつあったので、これを搭載した製品はほとんどない。

 それでもAT互換機を作っているメーカーの中には、12MHzや16MHzのi80286を搭載した製品があった。そうなるとISA Busも16MHzで動作するのだが、流石にこれだけ速度差があると、正常動作しないISA Busカードが大量に出現する、といった騒ぎになった。

 さらにCPUがi80386から「i80486」に移行すると、ベースクロックが33MHz~50MHz、CPUの動作周波数は100MHzオーバーになっていく。こんな周波数にISA Busカードが追従することは不可能である。

 そんなわけで、この頃になるとベースクロックを分周して、ISA Bus用のクロック信号を作るようになってきた。一番多く利用されたのは、ベースクロック33MHzを4分周、あるいはベースクロック25MHzを3分周した8.33MHz。これが最終的にEISAで採用され、ISA Busもこれにあわせて8.33MHzとなった。

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