非リア充に優しいクラブ
―― MOGRAのようなクラブを作ったのはなぜですか?
もふくちゃん 渋谷にしても代官山にしても、こういう言い方は嫌いですけど、文化的な街には必ずその街を代表するハコがあるんです。でもこんなにオリジナルな民族音楽が流行っている秋葉原には、それを集約する場所がない。アニソンのクラブイベントは各地で催されていたんです。だったら自分たちの土俵で、むしろ渋谷や代官山の輩をこっちに連れてくるみたいな。そういうことがしたかったんです。
―― ブッキングはどうしてるんですか?
もふくちゃん 20代前半という若さの店長(D-YAMA)がいるんですが、ほぼ彼に任せています。もともとはエレクトロのDJをやっていて、いろいろな音楽への造詣が深いので、秋葉原でもいろんなジャンルの音楽を聴かせたいって彼の考えもあって。
―― えらく若い店長ですね。
もふくちゃん 若い子たちのハコにしたかったんです。10代がこれから作る新しい文化の拠点にしたかったので。私が分からないくらいの世界を分かっている、若い人を連れてこなくちゃと。それで色んな人にDJを紹介してもらったんですが、一番ケチそうだなと思ったヤツを店長に。
―― ケチって……。いやでも、それは賢いですね。DJってお金ぱーっと使っちゃう人が多いから。
もふくちゃん 本当にうるさいんですよ。同じ会社なのに、MOGRA使うときに「社長いくらですか?」とか。「社内で金取るの!?」みたいな、それくらいのヤツなので。そしたらバッチリ。彼はすごく才能あります。もう彼しか店長はやれないですね。
―― それは素晴らしい。面白いハコって作るのは本当に難しいですからね。
もふくちゃん MOGRAはリア充が集まるっていうのと違うハコにしたかったんです。ナンパ禁止だし。
―― えっ、ナンパ禁止?
もふくちゃん ナンパ禁止なんです。クラブなのに。非リア充にとことん優しいハコ作りを目指している、みたいな。
―― それはすごいコンセプトだ!
もふくちゃん 私もそうだし、アニソンクラブ界隈の人たちがみんな思っていたのは、クラブに行くとヘタなおしゃれ野郎が来て、音楽好きじゃないくせにナンパしたりするの本当にイヤだって。私たちは純粋にアニソンとかが聴きたいのに。
―― そういう硬派なMOGRAで一番盛り上がったイベントってなんですか?
もふくちゃん 最近では、m-floの☆TakuさんがDJで来たときかな(「ピカチュ!!!」)。MOGRAとm-floという組み合わせで相当盛り上がって、異常なテンションになりましたね。あとMOGRAっぽいなーと思ったのは、深夜11時から朝5時まで、1本のエロゲをずっとやり続けるというイベントがありました(「賢者タイム前夜祭」)。
―― ちっともDJじゃないじゃないですか。
もふくちゃん 100人くらいで全員正座してひたすらやり込む。分岐点が来るたびに「どこ選ぶ? A、B、C?」みたいに手を上げてもらって、人数の多かった分岐を選んで攻略していくんです。ただ選んだエロゲがなかなか難しくてですね、ハダカを見るまでに朝までかかった。
―― 何だか分かりませんけど、すごいですねそれ。
もふくちゃん やっとハダカが出てきた瞬間に、座っていたお客さんが全員立ち上がって拍手してましたね。いろんな意味で熱かった。みんなゴザの上に座って。
―― しかし、なんだってそんなイベント企画したんですか。
もふくちゃん 確かに何でだろ……。
(次ページに続く)
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