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“音のビーム”を壁に反射させてサラウンド環境を実現

ヤマハ「YSP-2200」で『ガンダムUC』を聴いてみた

2011年06月20日 09時00分更新

文● 鳥居一豊、氷川竜介 撮影●篠原孝志(パシャ)

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ガンダムの迫力は音が決め手!! ファンネルに囲まれた気持ちを体感!!

鳥居 「じゃあ、さっそく見てもらうことにしよう。まずは第2巻冒頭。第1巻のラストから続く、ユニコーンガンダムとクシャトリヤの一騎打ちのシーンから」

太田 「うわ! ファンネルが自分の周りを飛び回ってますよ。四方からビームが!!」

鳥居 「オールレンジ攻撃を食らったパイロットの絶望的な気分が味わえるね」

 細かく解説すると、モビルスーツ同士の格闘シーンでカットインされるコクピット内の映像では、コクピットにいるバナージたちパイロットの声は自然に、通信などで入ってくるオペレーターや味方パイロットの音声はいかにもスピーカーを通して発せられた音のように加工されている。

 しかも、ネェル・アーガマ艦内では、艦内に居る艦長やオペレーターの声と、通信や艦内放送で聞こえる声の音質の違いに加え、音が配置される位置も左右や斜め後ろといった艦内スピーカーがある場所に配置されるなど、実にきめ細かくサウンドデザインされていることがわかる。

 こういった細かい音の違いは、サラウンドでないとわからないし、サブウーファー付きで低音から高音域まで再生レンジも広い高性能スピーカー以外では再現しきれないものだ。

 また、ビームサーベルを構えて激突するユニコーンガンダムとクシャトリヤが、勢い余ってぐるりと回転するシーンでは、交錯したビームサーベルが放つ音や、飛び散ったビーム粒子が周囲に散らばる音まで、一緒に回転していることがわかる。サラウンドならではの臨場感豊かな再現だ。

音響を通して、こちらに迫ってくるモビルスーツの圧迫感が伝わってくる。5.1chの恩恵をあらためて感じる場面だ。(C)創通・サンライズ

鳥居 「このあたりを踏まえて、フル・フロンタルの駆るシナンジュがネエル・アーガマを襲撃する『赤い彗星』の場面を見てみよう」

太田 「ネエル・アーガマのブリッジ内の緊張感がビリビリ伝わってきますね」

鳥居 「『3倍の速度で接近中!!』とか、ファーストガンダムを彷彿とさせる会話も生々しいでしょう」

太田 「迎撃に出たリゼルとクシャトリヤの交戦シーンでは、デブリ群をすり抜けるシナンジュの移動にも説得力が出ますね。浮遊する隕石を蹴って加速しているのが、映像だけでなく、効果音の迫力でわかります」

鳥居 「モビルスーツ大好きなガンダムファンにはたまらない描写だね。後の解説によると、元ネタのシャア専用ザクも決して通常のザクの3倍もの性能を持っていたわけではなく、デブリを蹴り飛ばしながら進むことで、性能以上の加速を行なっていたようですが、それを手描きのアニメで再現したのは初めてじゃないかな」

 劇中で使われる効果音などにも本作は限りないこだわりと「ガンダム愛」に満ちているが、その解説は氷川竜介先生にお願いしたい。筆者が特筆したいのは、ユニコーンガンダムが使うビーム・マグナムの「ズバビシューン」という音。

 RX-78のビーム・ライフルの効果音をベースに、重低音や細かなエフェクトを追加して、ガンダムのビーム・ライフルそのものでありながら、さらに迫力ある銃撃音になっているのには、感激した。

 この音を聴いて、単純に「あっ、昔のガンダムのビームの音だ」と感じてしまった人は、残念ながらスピーカーの実力不足だ。かすめただけでギラ・ズールを撃墜してしまうビーム・マグナムの威力を目撃したとは言い難い。

武器の発射シーンでは「YSP-2200」の実力がわかりやすく出る。効果音の迫力はもちろん、画面から放たれた瞬間、身体の脇を抜けて後ろに遠ざかっていく感覚を味わえる。(C)創通・サンライズ

「YSP-2200」はまだ実力を出し切っていない!?

太田 「それにしても、ユニコーンガンダムのビーム・マグナムが画面の奥から撃ち出される場面とか、ビームの音が本当に前から後ろに突き抜けていきますね。映画館よりはっきりとわかりますよ」

鳥居 「映画館は、専用の空間なので大音量で迫力はありますが、場内の人すべてが同じように聴こえないといけないので、音の移動感やサラウンド効果は逆に感じにくいんです。ところが、『YSP-2200』はホームシアター用のシステムだから、座った位置がベストポジション。サラウンド効果は映画館以上なんです」

太田 「うーん、それは確かに感じます。でも、迫力が映画館に負けてしまうのはやはり音量なんですかね……」

鳥居 「もちろん、音量も原因のひとつですが、実は現在のシステムだと映画館とまったく同じ音ではないんです」

太田 「え!? それはどういうこと?」

鳥居 「実は今まで聴いていた音は、ドルビーデジタルによる5.1ch音声です。わかりやすく言うと、映画館の音がCDだとすれば、今聴いているのはMP3です」

映画館の音をそのまま味わうために、PS3を追加!

 詳しく解説すると、DVDなどで採用されているドルビーデジタル音声は、圧縮音声で収録されており、聴感上の差はほとんどないとされているが、やはり原音よりも情報量が減っている。

 一方、BD版の『ガンダムUC』は、ロスレス圧縮方式の「ドルビーTrueHD」で記録されているので、圧縮による情報の削減がまったくないオリジナルそのままの音が再現できる。オリジナルとはずばり映画館の音だ。

 「YSP-2200」はドルビーTrueHD、DTS-HD Master Audioに対応しているので、いわゆるHDオーディオと言われるBDならではのロスレス圧縮音声をそのまま再現できる。

 しかし、HDオーディオは著作権保護の理由からHDMIケーブル以外での出力ができないので、東芝の「40RB2」のような内蔵BDプレーヤーの場合、外部の機器へ音声を出力すると自動的に下位互換のドルビーデジタル音声になってしまうのだ(ARC機能による伝送も光デジタル音声出力などと同じ扱い)。

 東芝の「40RB2」とヤマハの「YSP-2200」の組み合わせは接続も極めて簡単で、初めてサラウンドを楽しむためにはおすすめのシステムだ。しかし、BDソフトの実力をフルに引き出したいと思ったら、BDレコやBDプレーヤーを追加する必要がある。

 BDプレーヤーの再生から「YSP-2200」の操作まで、すべてテレビのリモコンで操作できるのは魅力なので、ふだん気軽に使うときは内蔵BDプレーヤーを使い、『ガンダムUC』のような劇場用作品のソフトを再生するときは多少の手間はかかってもBDレコなどを追加して楽しむといいいだろう。

 ちなみに、「YSP-2200」には、HDMI入力が3系統備わっているので、BDレコやゲーム機といったHDMI出力付きの機器を複数接続しておけるので、一度接続してしまえば入力ソースの切り替えなどはリモコンからすんなりできる。

ドルビーTrueHDの高音質で聴くにはHDMI接続のBD再生機器が必要。今回は最も手軽なBDプレーヤーでもあるPS3で再生してみた

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