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“音のビーム”を壁に反射させてサラウンド環境を実現

ヤマハ「YSP-2200」で『ガンダムUC』を聴いてみた

2011年06月20日 09時00分更新

文● 鳥居一豊、氷川竜介 撮影●篠原孝志(パシャ)

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アニメだからこそサラウンド環境が必要!

 今回は『ガンダムUC』でサラウンドを体験してもらうわけだが、アニメ好きが高じて高画質な薄型テレビを選んだり、サラウンドシステムを導入したりしている人は少なくない。その一例とも言えるのがBDソフトの販売額。BDソフトはDVDソフトに比べるとその販売額はまだまだは少ない。画質にこだわる人が徐々にBDソフトに移行してきている段階だ。

 そのBD販売額の内訳を見てみると、2010年の段階でおよそ6割弱までがアニメ作品となっている。また、BDソフトの販売本数の新記録を更新した作品を見てみると、これまた『ヱヴァンゲリオン新劇場版』やジブリ作品などのアニメーション作品が頻繁に顔を出す。自分の好きなアニメだからこそ、より高画質で楽しみたいという人が多いのだ。

ジャンル別ブルーレイ販売額(2010年)
ジャンル ブルーレイ販売額
ブルーレイ全体 471億9100万円
日本の一般向けアニメーション 255億8300万円
海外の一般向けアニメーション 24億2200万円
日本の子供向けアニメーション 2200万円
海外の子供向けアニメーション 3500万円

  ※日本映像ソフト協会の調査をもとに編集部作成

 しかも『ガンダムUC』のように劇場公開される作品は、実写映画作品と同じくサラウンド音声を採用している。アニメの魅力は数多くのアニメーターによる手描きの絵の味わいが筆頭だと思えるが、その絵に魂を吹き込む声優の演技、そして素晴らしい音楽や迫力あるアクションには欠かせない効果音も、映像に負けない魅力がある。いや、映像と音が一体になって初めて得られる感動があるのだ。

 だからこそ、BD版とDVD版があれば迷わずBDを選ぶような熱心なファンならば、再生する環境も薄型テレビだけでなくサラウンドシステムにも関心を持って欲しいと思う。これはガンダムファンだけでなく、多くのアニメファンにとって当てはまることだ。

宇宙世紀の世界へ跳ぼう! 『ガンダムUC』の音響(1)
文=氷川竜介

アニメは「音」で世界観を創る

氷川竜介氏(アニメ評論家)。技術的な視点からのアプローチを得意とし、宇宙戦艦ヤマトからストライクウィッチーズまで硬軟自在に語れるアニメ・特撮界の生き字引。またアニメ・特撮全般のみならず、AV機器への造詣も深い

 国内のアニメ作品が2.0chのドルビーサラウンドから5.1chのデジタルサラウンドへ移行し始めたのは、前世紀末近く。アニメ制作がデジタル化されたのと、ほぼ歩調を合わせている。その後は5.1chがデファクト・スタンダードとなり、6.1ch、7.1ch(主にサラウンド成分を補強するスピーカーの増加)含めて急速に普及する。

 「映像作品の音」はD(ダイアローグ=セリフ)、M(ミュージック)、E(エフェクト=効果音)の3要素の組み合わせだが、人間は映像以上に音からさまざまな情報を汲み取るため、すべての映像が人工物で構成されるアニメでは音響デザインが実写以上に重要な役割を果たす。

 筆者は5.1chの実現する臨場感とは「トータル・スコープ」(完全映画)の概念を聴覚上で実現したものと考えている。これは安部公房による小説が出典で「人間の五感すべてを完全なリアルとして伝える映画」という意味だ。映画とは光と音でイメージを想起させる装置ではあるが、その疑似体験性は次第に「トータル」に近づこうとする。近年の「3D立体視ブーム」もその文脈上にある。

 人間の耳の数に合わせてスピーカーを2本置けばそこに定位が生まれ、立体感を味わえる。これが2.0chステレオの原理だ。

 ところが人間は残響となる反射波も感知して前方と後方の音を聞き分け、部屋の大きさなどを知ることができる。5.1chは5本のスピーカーで観客を取り囲んでより確実に音の定位を再現し、0.1chに相当するサブウーハーの重低音で直接的に皮膚を振動させ、触覚との併用で「臨場感」を生むシステムである。「音の移動」や「重低音」以上に、環境音の再現による「臨場感」のほうが重要なのだ。

 その「音の臨場感」を制御することで、観客の「驚き、緊張、安堵」といったドラマに作用する感情もより繊細にコントロールできるようになり、映像への没入度をも増す。つまり「演出に貢献する音響」という意味で5.1chは強い武器になる。それは「音による世界観の創出」さえ可能とし、SFアニメやファンタジーアニメの世界観重視の方向性ともマッチする。

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