まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第24回
アニプレックス 宣伝プロデューサー 高橋ゆま氏インタビュー(前編)
「ゴミ屑みたいな社員」(本人談)から、宣伝プロデューサーに
2011年06月11日 12時00分更新
「最初はゴミ屑みたいな社員でした(笑)」
―― 宣伝プロデューサーになるまでの経緯を教えてください。
ゆま 「僕は2004年度の新卒入社です。当時からソニーミュージックにはたくさんの音楽レーベルがありましたが、アニメがやりたかったので、グループ内のアニプレックスを受けました。
でも、1年目は落ちているんですけど(笑)」
―― えっ、じゃあアニプレックスに入社したいがために就職浪人を?
ゆま 「それが、うっかり留年しまして……計画的ではないんです。アニメと全然関係ない別の会社で内定もいただきましたし。当然内定は取り消され、3日間ぐらい落ち込んで、親からもさんざん叱られて。
でもアニメに関わることをやりたかったので、次の年にもう一度アニプレックスを受けたら、たまたま拾ってもらえたんですね」
―― 留年がなければ、違う人生だったかも。
ゆま 「そうですね。たぶんこんな機会もなく、今ごろ企業のコンサルティングなんかをやっていたと思います。
アニプレックス入社後は、制作の部署にアシスタントプロデューサーとして配属されました。そこで映像の制作プロデュースをやっていたのですが、最初は、まったく使えないゴミ屑みたいな社員でした(笑)。
ほんとに全然だめで、2年目が終わる前に宣伝に異動になりまして。それが2006年のことですね」
―― 制作部署では能力を発揮できなかった?
ゆま 「アニメが好きっていう気持ちは強くて、何作か関わらせていただきましたが、まだ全体が見えていませんでした。木を見て森を見ず、ですね。それに勉強不足、経験不足で社会人としても、ちょっとよろしくないと言いますか(苦笑)」
―― なるほど(笑)。ちなみに、宣伝に異動された2006年と言えば、アニメDVDの売り上げが頂点を極めた一方で、潮目が変わり始めた時期ですよね。
ゆま 「はい。ただ入社したのはちょうど『鋼の錬金術師』がブレイクしたころで、社内には勢いがありました。そこからずっと宣伝で、今は6年目ですね」
―― 異動された当初から、今のようなスタンスでお仕事を?
ゆま 「さすがにそれは(笑)。まずはアシスタントという形で先輩に付いて、イロハというか割とベーシックなところを覚えました。現場の取材だったり、雑誌への記事の仕込み方といったものの勉強ですね」
■Amazon.co.jpで購入
鋼の錬金術師 vol.1 [DVD]アニプレックス
この連載の記事
-
第102回
ビジネス
70歳以上の伝説級アニメーターが集結! かつての『ドラえもん』チーム中心に木上益治さんの遺作をアニメ化 -
第101回
ビジネス
アニメーター木上益治さんの遺作絵本が35年の時を経てアニメになるまで -
第100回
ビジネス
『THE FIRST SLAM DUNK』で契約トラブルは一切なし! アニメスタジオはリーガルテック導入で契約を武器にする -
第99回
ビジネス
『THE FIRST SLAM DUNK』を手掛けたダンデライオン代表が語る「契約データベース」をアニメスタジオで導入した理由 -
第98回
ビジネス
生成AIはいずれ創造性を獲得する。そのときクリエイターに価値はある? -
第97回
ビジネス
生成AIへの違和感と私たちはどう向き合うべき? AI倫理の基本書の訳者はこう考える -
第96回
ビジネス
AIとWeb3が日本の音楽業界を次世代に進化させる -
第95回
ビジネス
なぜ日本の音楽業界は(海外のように)ストリーミングでV字回復しないのか? -
第94回
ビジネス
縦読みマンガにはノベルゲーム的な楽しさがある――ジャンプTOON 浅田統括編集長に聞いた -
第93回
ビジネス
縦読みマンガにジャンプが見いだした勝機――ジャンプTOON 浅田統括編集長が語る -
第92回
ビジネス
深刻なアニメの原画マン不足「100人に声をかけて1人確保がやっと」 - この連載の一覧へ