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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第95回

ネットの「熱さ」、現代アートに――藤城嘘とカオス*ラウンジ

2011年06月09日 12時00分更新

文● 古田雄介(@yskfuruta

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チーム作りも「創作活動」


―― アート集団としては、まず公式サイト「POST POPPERS」を立ち上げていますね。「カオス*ラウンジ」までの変遷を教えてください。

藤城 POST POPPERSはとにかくまず勢いで始めました。Pixivなどでいいなと思った人たちにガンガン声をかけて、集団の展示の機会を作るというような感じでしたね。まずは表に出ることが大事だと思って、メンバーのそれぞれが思いのままに作品を発表してくれればいいやと考えてやっていました。ただ、各人の意志がバラバラだったり、発展させるのに限界を感じ、現在は活動凍結ということにしています。

 カオス*ラウンジはPOST POPPERSの延長として、僕がプロデューサー的な位置に立って、大量の人が集まるような展示プロジェクトにしたんですが、その点がある種つきぬけていて、発展につながったかもしれません。毎回コンセプトに沿った最適なメンバーに仕事を依頼して、メンバーを固定しないことで流動性も得られる……「いま熱い!」人が取り込みやすい土壌にしたかったんですよね。

POST POPPERS公式サイト。2009年に誕生した秋葉原初のクラブ「MOGRA」内装を担当するなど、実績を積んでいる


―― ちなみに、自分の作品を評価してもらいたいという気持ちと、集団で活動する意欲はどちらが先に立っているんですか?

藤城 うーん……両方ですかね。作品を作ったら、やっぱりしっかり観てくれる人に評価を下してもらいたいじゃないですか。そういう人に観てもらいやすい環境を作るために、すごいと思う人を集めて一緒に活動するように働きかけたというのは、わりと最初の頃から意識的にやっていました。

 それと同時に、仲間を集めることも創作のなかの「編集行為」だと考えているんです。ある意味自分の作品を作るのと同じで、新しいものを見たい、見せたいという、同じ欲求からきていると思います。集団であることで「同じ時期にこういう表現がたくさん現われてきているぞ」みたいなメッセージが作れますし、そういう表現もどんどん表に出していきたいです。


―― なるほど。個人活動重視だと集団をまとめる作業はすごく面倒に感じると思いますが、制作活動のひとつと捉えるなら、ストレスはある程度軽くなりそうですね。

藤城 でも、やっぱり大変ですし、力不足で申し訳ないことも多いです。一度のイベントで40~50人の方に連絡したりするんですけど、返信に時間がかかることも多くて……。それに、カオス*ラウンジは2010年から黒瀬陽平さんにキュレーター(展示の企画舎)として協力してもらい共同企画という形なのですが、そうした変化を僕の一存で決めてきたことで、過去から参加している人に不安や不信を与えたりもしてしまいました。そのあたりはまだ完全には解決できていないですが、これから誠意を持って自分の考えを伝えていきたいと考えています。

 それでも、自分がやりたいことがすでにひとりでやれる規模ではなくなっていますし、新鮮な空気に触れる刺激も多いので、集団でやるスタイルは貫きたいですね。

黒瀬陽平 : 美術家、美術評論家。東京藝術大学大学院在学。美術予備校の教師を勤めながら、展覧会のキュレーションなどを行なっている


―― メンバー選びで毎回意識している共通項みたいなものはありますか?

藤城 最終的に閉じた雰囲気にしないように心がけています。あと、アーティストについて言えば、「社会に還元できるメッセージ」を、持つ可能性がある人、に声をかけています。

 きれいな絵やデザインは僕も好きですけど、技術的にすごいというだけだと、絵に込められたものがそこで終わってしまって、停止していまうところがあると思うんですよ。表面的な良さだけで集まっても、他分野とコラボレーションする視点も出てこないし、閉じた雰囲気になってしまう。大学よりもネットの方が表面だけでなく自分をつきつめている人が多く見られるので、結果的に僕の仲間もネット中心になっている感じです。

大学のアトリエには、自身の作品とともに、メンバーのアート作品もたくさん置かれていた。「審美眼には自信があります。僕がいいなと思った人や作品を紹介するのはめちゃくちゃ楽しいですね」という

(次ページに続く)

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