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40GbEを最大192ポート搭載できるBlackDiamond X8も投入

オープン勢を味方に!エクストリームが尖ったスイッチ

2011年06月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月6日、エクストリーム ネットワークスは「Open Fabricデータセンター ソリューション」、および新スイッチ「BlackDiamond X8」、「Summit X670」を発表した。5月に開催された米国のInteropを受けたもので、尖った新製品の概要が明らかになった。

仮想化データセンターに焦点を絞った製品群

 発表会の冒頭、同社のデータセンター製品について概観した日本法人代表取締役の浜田俊氏は、ワールドワイドでフォーカスしている「モビリティ」という用語を説明した。通常、モビリティというとアドレスや場所に依存しない端末側の自由度を表現するが、浜田氏は幅広いロケーションに位置するという意味でクラウド側も「モビリティ」の状態にあると説明する。昨今、同社はこのモビリティにフォーカスしており、「クラウドではなく、『Make Your Network Mobile』というモバイルをワールドワイドで強調している」と述べる。データセンターにおいてはおもに仮想マシンのモビリティを意味し、ロケーションにひもづかない柔軟なネットワークの実現を意味するという。

エクストリーム ネットワークス 代表取締役の浜田俊氏

エクストリーム ネットワークス システムズ・エンジニアリング部 笹川裕氏

 こうしたモビリティを実現する新製品について説明を行なったシステムズ・エンジニアリング部の笹川裕氏は、クラウドや仮想化への対応、リソースの統合化、データセンターファブリック、そして省電力化など「クラウドスケール データセンター」のニーズについて説明。具体的に大容量トラフィックをさばくキャパシティや低遅延、さらに仮想マシンがサーバー間を移動する「East-Westトラフィック」への対応、仮想マシンへのプロビジョニング、電力消費の削減などを挙げた。

 これに対して、同社が発表したOpen Fabricデータセンターソリューションは、10/40GbEという大容量、低遅延、OpenFlowテクノロジーを用いたプロビジョニング、DCB(DataCenter Bridging)などに対応するというもの。同社スイッチのコアソフトウェアであるExtremeXOSに実装されており、「ファブリックという定義になるかはわからないが、他社のように新たな製品を導入して、入れ替える必要はない」(笹川裕氏)と、既存の投資の保護をアピールした。

 また、このOpen Fabricアーキテクチャに対応するExtremeXOSを搭載した製品として、BlackDiamond X8とSummit X670の2機種を紹介した。

40GbEを最大192ポート搭載できるBlackDiamond X8

40GbEにも対応するボックス型の超低遅延スイッチ「Summit X670」

40GbEを最大192ポート搭載できる「BlackDiamond X8」

 新製品の「BlackDiamond X8」は、20Tbps超のスイッチング容量を誇るシャーシ型スイッチで、1/3ラックサイズ(14.5U)に40GbEを最大192ポート、10GbEを最大768ポートを搭載できる。「業界他社に比べても2倍程度のスイッチング容量を誇る」(笹川氏)というキャパシティがまず大きな売りとなる。

40GbEを最大192ポート搭載できるBlackDiamond X8のシャーシアーキテクチャ

 製品は前面にI/Oモジュール用スロットの8つ、管理モジュール用のスロットが2つ、電源モジュール用のスロットが8つ用意されている。前面のモジュール類を横向きに挿すのに対し、背面には4つのファブリックモジュールと5つのファンモジュールは縦向きに挿す。既存製品と異なりバックプレーン、ミッドプレーンが存在せず、前面のI/Oモジュールと背面のファブリックモジュールを直接接続される点が特徴的で、広帯域化や低遅延化に貢献するという。

 シャーシ型ということで、各モジュールは完全に冗長化されている。たとえば最大3+1のファブリックモジュールは、1ファブリック故障時でもサービスを継続でき、なおかつワイヤレートも維持する。I/Oモジュールは48ポートの10GbE SFP+モジュールのほか、40GbEモジュールが24ポートと12ポートのQSFP+モジュールで計3モジュール用意される。

 BlackDiamond X8はサーバーを数多く収容することにフォーカスした製品で、「コアやエッジという階層を取り払い、箱1つにデータセンターを収容できるというイメージ。10GbEでサーバーをすべて直付けしてしまいましょうという発想」(笹川氏)という。VMwareやXen以外の幅広いハイパーバイザーへの対応、異なるスイッチへのリンクをマルチパス化するM-LAG、XNV(Extreme XOS Network Virtualization)による仮想マシンのモビリティ管理などの特徴もアピールした。製品はβ版が10月にリリースされる予定となっている。

Open Fabricによるデータセンターネットワーク

超低遅延なボックス型スイッチ「Summit X670」

 ボックス型スイッチ「Summit X670」は、Summit X670V-48x/X670-48x(以下、X670V/X670)の2機種がモデル用意される。両者とも48ポートの10GbE(SFP+)が搭載されているが、X670Vには背面に拡張スロットが用意されている。この拡張スロットには4ポートの40GbEか、スプリッタ利用により16ポートの10GbEのモジュールを収容できるため、最大で64ポートの10GbEを搭載できる。また、両者ともEthernetポートを用いたスタック接続「SummitStack-V」が利用可能になっており、X670では10GbEを2ポート用いた「SummitStack-V」、そしてX670Vでは40GbEを2ポート用いた「SummitStack-V160」がサポートされる。

Summit X670のシリーズ設計

 両者とも128KというX650の4倍となるMACアドレスをサポートし、DCB(DataCenter Bridging)に対応。また、カットスルーを採用した1μsec以下という低遅延を実現しており、X670の方はPHYでの電力増幅をサポートせず、長距離モジュールを使えないかわり、より低い遅延を実現しているという。

 さらにユニークな点でモーションセンサーを搭載している。動体検知機能を持っているため、人や物が近づくと検知できるほか、動きがないときにはLEDを停止すといった動作も可能だという。

 Summit X670の出荷は6月から開始される。価格はX670は230万円を予定しており、X670Vは未定となっている。

データセンターにフォーカスした結果の新製品

 浜田氏によると、米エクストリームでは昨年新しいCEOが就任し、事業の選択と集中を行なった結果、通信事業者向けの「BlackDiamond 2K」はキャンセル。データセンター向け新製品に投資を集中した結果、今回のような尖った製品ができあがったという。特徴の1つであるOpenFlowへの取り組みについても、「大手ではないわれわれの戦い方は、オープンソース系や他社とのパートナーシップが重要になる」(浜田氏)と説明した。

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