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そのエラーページ、自己満足になっていませんか? (1/4)

2011年06月13日 10時01分更新

文●清水 誠

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 Webサイト制作の現場にも、根拠あるデザイン/UI設計やROIが求められるようになってきました。ところが、ユーザビリティ評価やA/Bテストに投資できるのは一部の先進的な企業だけ。現実には多くの制作現場で、デザインやUIの検証は進んでいません。

 本連載では、マーケティング施策の効果測定として使われることが多いアクセス解析のツールと考え方を応用し、WebサイトのUIや機能の利用状況、効果を検証する方法を紹介します。Google Analyticsなどの無料ツールを使い、Web制作者が時間やお金をかけずにできる考え方と具体的なテクニックを実践的に解説します。

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 「404 Not Found」エラーページのデザインや文章を工夫すると、サイトへの印象を良くしたり、ユーザーをサイト内にとどめたりできます。Googleで「404 デザイン」と検索するとたくさんのまとめサイトが表示されるように、404エラーページのあり方(デザイン・ユーザビリティ)についてはいろいろ議論されてきました。

 たとえば、以下は「サクラクレパス」www.craypas.com)の404エラーページです。

 エラーページにもかかわらず、さりげなくユーモラスに消しゴム商品を紹介しています。和みつつ、思わずクリックしてしまいそうです(訪問目的を忘れてしまいそうですが……)。

 「本田技研工業」www.honda.co.jp)の404エラーページは以下のようになっています。

 よくある間違いの例を示して再度試してもらうよう促すとともに、サイト内の主要リンクを設けて移動できるようにしています。さらに、下側には入力フォームがあり、簡単に問い合わせできるようになっています。

 これらは一見すると「よさそう」なページですが、目的である「エラーを回避し、訪問目的を達成してもらう」のに本当に役立っているのでしょうか? 制作現場の小粋な自己満足に終わってはいないでしょうか?

 アクセス解析を駆使すると、こうした制作者の「想い」(設計時の仮説)と、ユーザーの実際の行動が一致しているかを調べられます。今回は、エラーがユーザーに与える影響を調べ、エラーページの改善を検討する方法を紹介します。

どんな数字が分かると役に立つか? 解析の目的を明確にしよう

 どのような時にどれくらいの頻度でエラーページが表示されているのか、その結果、ユーザーの行動はどう変化したのかを数字で把握することで、そもそもエラーページの改善は必要なのかの判断や、改善の効果検証ができるようになります。具体的な実装やレポート作成からいきなり着手すると、技術的な制約に振り回されたり、数字に溺れてしまったりすることがありますので、最初に知りたいことを明確にしておきましょう。

エラーの影響を把握するための指標

1. エラー体験率
何%のサイト訪問者がエラーを体験したか?
2. 新規訪問エラー率
新規訪問の何%でエラーが発生したか?
3. エラーコンバージョン率
エラーにも関わらず、どれくらい目的を達成できたか?
4. エラー離脱率
エラーページを見て何%がそのままサイトを去ったか?
5. エラー再訪問率
何%の訪問者が後日に再訪問したか?

 訪問者とサイト、指標の関係を図解すると以下のようになります。

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