カラオケに上がるまで
歌詞を書いたことがなかった
―― 合成音声というのは本物に似てる or 似てないで評価されがちだけど、daniwellPの曲は成り立ちからして全然関係ないですね。
萌々子 そもそも合成であるということを意識せずに聴けるのが新鮮ですね。人が歌えそうにもないところは、合成音声ならではというか。
―― ところが「Nyanyanyanyanyanyanya!」はカラオケに上がるそうじゃないですか。ボカロ曲として上がるんですか?
daniwellP ボカロ曲としてですね。歌える人がいるかどうか分かりませんが、カラオケにはなります。
萌々子 そしたら歌いに行きます!
daniwellP 歌詞は延々「にゃにゃにゃ」が表示されるそうです。それまで歌詞は書いてなかったんですが、JOYSOUNDから歌詞を請求されて、初めて「にゃ」を回数分書きました。
―― そういえば「にゃ」だけでも歌詞に著作権は発生するんですかね?
daniwellP あ、どうなんだろう?
―― 1フレーズが短すぎるとは言え、あの「にゃ」以外の歌詞では、あの曲にならないですよね?
daniwellP そうですね。
―― 歌詞の権利を主張するために、試しにJASRACに登録してみてはどうでしょうか?
daniwellP あの、それで本当に登録されちゃっても困りますけど……。
―― 「にゃ」が著作権で保護されると、うかつに「にゃ」って言えませんからね。
daniwellP 確かに。
―― というのは半分冗談みたいな話ですが、たぶん「Nyanyanyanyanyanyanya!」はクラブとかでガンガンかかりますよ。
萌々子 もうかかっているという話は聞いています。MOGRAかなんかで。
―― ほら。次のボーマス(同人マーケット)には出ますか?
daniwellP はい。
―― だったら「Nyanyanyanya!ビニール12インチ版」とか売ればいいじゃないですか。
daniwellP いやー、そういうのは考えていないですねえ。
萌々子 インディーズみたいな感じでヴィレッジヴァンガードに置いておくと売れそうな気がしますよ。
―― 少し商魂出しましょうよ。
daniwellP ……。
―― はい、分かりました。「Nyanyanyanyanyanyanya!」のヒットは無欲の勝利だと思います。今日はありがとうございました。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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