ロボットの環境認識機能を使っている
―― では、技術の話をお願いします。SmartARは、QRIOや「AIBO」の技術を使っていると伺いました。
芦ヶ原 はい。発表会では二足歩行ロボット・QRIOが自分の位置を確認しながら家の中を歩きまわるようなビデオを流しましたが、その技術が今回の発表の源流になっています。スマートフォン自体が環境のマップを構築しながらCGを乗せていくことで、「(CGが)消えない」というところにつながっています。
―― 初めに話題になった動画はモモが3Dの立体格子画像の上を歩いているものでしたが、あれは直線を感知しているものではないんですよね?
芦ヶ原 違います。SLAM(Simultaneous localization and mapping)っていうロボットのかなりコアな技術で、要は自分の場所を決めながら同時に環境のマッピングをしていくという技術・学術分野があるんです。それと同じことをケータイでやっているということなんです。
―― 画像を空間として認識しているということですか。
福地 大事なのはカメラが動くことで視差が取れること、距離が分かることです。人間も2つの目で距離を測っていますけど、片目でも遠くのものはゆっくり動くし、近くのものは速く動く、ということで分かりますよね。それが基本的な原理です。なのでカメラが動いているうちに環境を認識する。
―― なるほど。するとある程度の時間が必要になりますよね。スマートフォンだとどのくらいかかるんですか?
芦ヶ原 「3D空間認識」の技術はまだXperia用アプリには実装されていません。PC上でどれくらいかかるかというと、作りたい環境の密度によるんですが、粗く作るならリアルタイムで可能です。特徴点の三次元位置というのはリアルタイムで取れますね。
―― たとえば、「VAIO」のようなノートパソコンを持って部屋を歩くと、あの動画のような世界が実現できると。
福地 少なくともその世界は近いですね。
―― そんなにできるんですね。それがびっくりでした。そうするとあの部屋は直線が多かったですけど、壁が波打っていたりとかだと、処理に時間がかかるということはあるんですかね?
福地 環境によって多少変わるのはありますけど、直線か直線でないかというのは無関係です。
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