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週刊セキュリティレポート第1回

エフセキュアがセキュリティトピックスを解説!

Linuxと携帯電話のセキュリティはフィンランド同士の縁から

2011年06月07日 06時00分更新

文● 富安洋介/エフセキュア

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TECH.ASCII.jpをご覧の皆さま、はじめまして。今回より週刊のコラムを書かせていただきます、エフセキュアのテクノロジー&サービス部です。本連載ではエフセキュア テクノロジー&サービス部の3名で、セキュリティに関するトピックスを紹介する予定です。第一回目となる今回では、まず始めにエフセキュアという会社についてご紹介しましょう。

フィンランド共和国の首都ヘルシンキにあるエフセキュア本社。ちなみに、フィンランドの面積は33.8平方キロメートルで日本よりやや小さい程度で人口は約58万人だ

 エフセキュアは、アンチウイルスソフトなどのセキュリティ製品の開発・販売を行なっている会社です。本社は北欧のフィンランドで、1988年に「Data Fellows」として創業されました。当初はパソコンのトレーニングやデータベースシステムの構築などを業務としていましたが、1991年からアンチウイルス製品の開発・販売に特化してきました。1999年の「エフセキュア・コーポレーション(F-Secure Corporation)」への社名変更をはさみ、今年で20年間もセキュリティに関する分野で活動をしていることになります。

 日本でも1994年から販売代理店を通じて営業活動を開始し、1999年に日本法人「エフセキュア株式会社」を設立して活動を強化してきました。日本では、特に法人ユーザー向けのビジネスに力を入れてきました。コンシューマ向けにはこれまであまりアピールして来なかったという経緯もあり、あまり知名度が高い会社ではありません。しかし、10年以上の地道な活動の結果、一定以上のユーザーを獲得することができました。特にLinuxを利用されているユーザーの中では、高い知名度を持っています。

Linuxのセキュリティへの取り組み

 エフセキュアは、Linuxが現在のように広く使われるようになるはるか以前から、Linux上で動作するセキュリティ製品を開発してきました。これは必ずしもLinuxが生まれた当初から現在の状況を予見していたというわけではなく、きわめてプライベートな事情もあります。

 Linuxの中核となるカーネルは、オープンソースソフトウェアとして扱われ、多くの開発者が自由に参加して開発を行なっています。Eric S. Raymond(エリック・レイモンド)氏により「バザール方式」と名付けられたこの開発方式は、Linuxの技術的な面での発展を支えてきました。

バザール方式と呼ばれる開発形態

 多くの開発者が自由に参加するLinuxですが、最終的にできあがるカーネルの内容を取りまとめる人は必要です。それを行なっているのが、Linuxカーネルの生みの親であるLinus Tovalds(リーナス・トーバルズ)氏なのですが、彼はフィンランド人です。それだけではなく、エフセキュアの創業者であるRisto Siilasmaa(リスト・シーラスマー)とLinus氏は、同じ時期に同じ大学に通っており顔見知りだったそうです。そんな縁もあり、RistoがWindowsの次にアンチウイルスソフトを提供するプラットフォームを検討した際、Linuxを選ぶことになったのです。

携帯電話のセキュリティへの取り組み

 フィンランドには、もう1つ、つい最近までOS開発をリードしていた会社があります。それは携帯電話のメーカーとして有名なNokiaです。

 残念ながらNokiaは日本市場からはほぼ撤退してしまいましたが、英Symbianで開発され、その後Nokiaに引き継がれた携帯電話向けの「Symbian OS」は、昨年末時点ではスマートフォンのOSシェアの第一位を占めていました。日本ではSymbian OSを搭載したスマートフォンは販売されていませんが、NTTドコモの一部のFOMA端末でOSとして採用されています。なお、Nokiaは今後Windows Phoneに注力する方針を決めており、Symbian OSの開発についてはアクセンチュアに2011年中に引き継ぐ予定です。

 さて、Symbian OSが多機能化・高性能化していく状況をふまえ、エフセキュアは携帯電話のセキュリティについても1999年という早い時期から研究を開始し、2001年には世界で初めて携帯電話向けの製品をリリースしています。

 実際に2004年には、Symbian OSのBluetooth機能を利用して感染を広げる、世界最初の携帯電話をターゲットとしたウイルス「Cabir」が登場しました。

Symbianをターゲットとする「Cabir」の検出画面

 携帯電話向けのウイルス研究/セキュリティ対策のノウハウは、スマートフォンのセキュリティ対策にも引き継がれています。2011年に入り、Android OS搭載スマートフォンのシェアが増えるに連れ、Android OSを標的としたウイルスが非常に増えてきています。ネットワーク機器大手のJuniper Networksのあるレポートによると、2010年の夏から2011年の春にかけて、400%の増加率を示しているとのことです。

 エフセキュアでも、こういった状況からAndroidのスマートフォンユーザーの安全を守るため、「エフセキュア モバイル セキュリティ for Android」を先日リリースしました。

アンチウイルスだけでなく、スマートフォンに必要なさまざまなセキュリティ機能を搭載する「エフセキュア モバイル セキュリティ for Android」

環境の変化に対応したセキュリティを

 使い古された言葉ですが、ITの世界はドッグイヤーと呼ばれ、状況が目まぐるしく変化していきます。新しいテクノロジーが生まれ広まれば、それに対応したセキュリティの脅威もまた生まれます。ITサービスやデバイスなどを、皆様が安全に使い続けるための一助となるようなコラムを目指して行きたいと思います。

筆者紹介:富安洋介

エフセキュア株式会社 テクノロジー&サービス部 プロダクトエキスパート
2008年、エフセキュアに入社。主にLinux製品について、パートナーへの技術的支援を担当する。


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