PS3への採用で世に出たXDR DRAM
PC用にXDIMMも開発
ちなみにXDR DRAMは、クロック信号の8倍速(ODR、Octal Data Rate)で駆動される。初期のXDR DRAMは400MHzクロックで3.2Gbpsのデータレート。XDR DRAMチップのバス幅は16bitとなっており、XDR DRAMチップ1個で6.4GB/秒の帯域になる。
XDR DRAMを最初に採用したのは、ご存じ「プレイステーション3」(PS3)だ。初期ロットのPS3はこれを4つ利用して, 合計25.6GB/秒の帯域を確保した。
XDR DRAMの開発当初は、まだPC用メモリーへの未練が若干あったようで、「XDIMM」というDIMMモジュールも開発されている。これはXDR DRAMをDIMMに装着して利用できるもので、物理的にはDirect RDRAM用のRIMMと共通のコネクターに装着できるようになっていた。XDIMMのバス幅は32bitで、1枚あたり12.8GB/秒(3.2Gbpsの場合)~25.6GB/秒(6.4Gbpsの場合)の帯域となる。
ただし、XDR DRAMはディファレンシャル方式であるがゆえに、メモリーコントローラーとの接続はポイント・ツー・ポイントに限られる。そのため、複数枚のXDIMMをひとつのチャンネルに装着できない。そこで2枚のXDIMMを装着する場合、図5の仕組みが考えられた。ようするに、「デュアルチャンネルXDIMM」というわけだ。これ以外にも、「ダイナミック・ポイント・ツー・ポイント」という仕組みも可能という。
先に「FlexPhaseは配線などのズレを調整する」と説明したが、それ以外にバス幅の調整も可能である。図6は、2枚のXDIMMをそれぞれ16bit幅で接続しているケースである。この場合、FlexPhaseは各XDIMMのチップに対して、有効バス幅を半分にするように通知して、半分のバス幅で通信する。
この接続を採用した状態で、XDIMMが1枚の場合はどうなるか? その場合、図7のように「Continuous Module」を装着して、これを経由することでメモリーコントローラーとXDIMMを32bitで接続する。Direct RDRAMにおけるC-RIMMのような仕組みだ。
この構成は、XDIMMの枚数によらず一定の帯域を利用できる利点がある。そのため商品構成上は有利になるという話だったが、残念ながらDirect RDRAMで十分懲りたPCベンダーはこの提案には載らなかった。
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