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週刊 PC&周辺機器レビュー 第103回

プロジェクターを内蔵できるモバイルノート SH76/D

2011年05月27日 12時00分更新

文● 池田圭一

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 専用のソフトウェアは必要なく、Windowsのセカンドディスプレーと同じような使い方ができる。例えば「デスクトップを複製」するモードでは、本体のディスプレーも自動でプロジェクターと同じ800×600ドット表示に切り替わり、デスクトップがそのまま両画面に投影される。「拡張」では1366×768ドット表示のデスクトップ画面の上下左右のどこかに、800×600ドット表示のプロジェクター画面がセカンダリディスプレーとして並んだ表示となる。

画面の表示解像度は800×600ドット、Windowsからはプロジェクターとして認識される

 お勧めなのは後者の「拡張」だ。メディアプレイヤーの全画面表示をプロジェクター側だけに表示できるので、ネット動画などを多人数で楽しむのに便利だろう。

 プロジェクターの表示はかなり明るく、発色も美しい、オフィスの照明下で見ても、しっかりと投影像が視認できる。ただしレンズ倍率の関係上、表示の拡大率は低い。SH76/Dから50cmほど離したところに置いたスクリーンに表示しても、本体のディスプレーとほぼ同じサイズ(対角33cm)にしか投影できない。

52cm(レンズ面から45cm)ほど離すと、SH76/Dのディスプレーとほぼ等しい画面サイズとなる

 プロジェクターとしては悪くないモバイルプロジェクターユニットだが、実用性やコストパフォーマンスの点では、いろいろと疑問が残る。例えばDLPを使う小型プロジェクターでは、3Mのポケットプロジェクター「MP160」(バッテリー駆動、800×600ドット表示)が3万円前後で売られている。一方でモバイルプロジェクターユニットの価格は、直販サイトで7万9800円(6月28日発売予定)とかなり高額だ。

 しかもモバイル・マルチベイ専用なのでほかの機器では使えないし、ノートに内蔵するため投影方向も限られてしまう。ノート本体のバッテリー消費も激しそうだ。光学ドライブとの同時利用も不可能なため、DVDの再生・投影もできない。

 正直なところ、モバイル・マルチベイにプロジェクターを内蔵するメリットは、あまりなさそうに思える。同様のギミックであれば、平面アンテナを内蔵したTVチューナーや、追加用SSD、外部スピーカーを鳴らせる高品位アンプといったアイテムの拡充を期待したいところだ。

 SH76/Dの直販価格は17万9800円(本稿執筆時点)。メモリー8GBを標準搭載することを考えると、高い製品ではない。搭載OSがWindows 7 Home Premium 64bit版とホームユース向けなのに、高いセキュリティーを求めるビジネスユーザー向きの指紋認証機能が標準搭載など、店頭販売モデルはやや構成がアンバランスにも思える。直販サイトでは値引きクーポンを利用すると、より安価に求められる。購入を検討する人はカスタムメイド構成にして、機能やCPU性能を適宜選んで購入することをお勧めする。

LIFEBOOK SH76/D の主な仕様
CPU Core i5-2520M(2.50GHz)
メモリー 8GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 13.3型 1366×768ドット
ストレージ HDD 640GB
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
無線通信機能 IEEE 802.11 b/g/n、WiMAX、Bluetooth 3.0
インターフェース USB 3.0×1、USB 2.0×2、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LANなど
サイズ 幅321×奥行き228.5×高さ24.2~32.3mm
質量 約1.66kg
バッテリー駆動時間 約10.4時間
OS Windows 7 Home Premium 64bit版
価格(直販価格) オープンプライス(17万9800円)

筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。


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