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「ワイヤレスジャパン2011」レポート 第2回

ドコモ/KDDIのトップが基調講演 ともに次の10年を見据える

2011年05月25日 20時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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携帯電話によるインターネットは
“なんちゃってインターネット”

KDDI 田中社長

 続いて登壇したのはKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏である。通信各社の合併によって生まれた新生KDDIは2001年にスタートし、今年の4月でちょうど10年になる。そこでまずはこの10年の同社の歩みについて振り返った。

 2000年度に2兆8000億円だったKDDIの売上は、2010年度には3兆4000億円にまで伸びている。注目すべきはそれに占める携帯の割合で、62%から75%にまで至った点だ。携帯電話事業がKDDIの業績を牽引していることがよくわかる。

 その携帯電話事業でキーとなったのが、3Gとパケット定額のスタートであるとする。データ通信がユーザーに身近になり、新たなサービスが次々と携帯電話にもたらされた。それらのサービスにはFeliCaなど携帯電話発祥のものもあるが、多くはPC向けのインターネットサービスとして誕生したものである。

携帯電話事業の拡大と変化に大きく寄与したのが、3Gとパケット定額のスタートだという

 PC向けに人気のあるインターネットサービスを発掘し、ケータイ向けにカスタマイズする。これがケータイサービスの成功の方程式である。ケータイ向けにカスタマイズが必要だったのは、PCに比べてハードウェアのスペックが低かったからだ。特に「ユーザーインターフェイス」「処理速度」「ネットワークの速度」の3点で課題を抱えてきた。それはつまり、性能が制限されたデバイスの中でインターネットの価値を取り込む“なんちゃってインターネットの時代”だったと、この10年を総括した。

元々PC向けに登場したサービスを携帯向けにアレンジしてきたのがこの10年だ。制約がある中でも、そのようなサービスが受け入れられたことからも常時持ち歩くモバイルデバイスの強味がわかる

モバイルデバイスの制約が解かれたことで
PCとモバイルのインターネットがシームレス化する

 しかし、この制約はスマートフォンでは解消されつつある。まずインターフェースはタッチパネルでPCを上回る操作性が実現された。処理速度でも今や1GHz超で動作するCPUが搭載されている。ネットワークでも、今ではauの3G通信では下り最大9.2Mbps、WiMAXでは下り最大40Mbpsの速度を実現している。

モバイルデバイス側の制約が解かれることで、真のインターネットがもたらされる

 こうして3つの大きな課題がクリアされたことで「PCインターネットでできることはモバイルで完全にできるようになる」と断言。そして、次のインターネット時代におけるKDDIの戦略は「マルチデバイス」「マルチユース」「マルチネットワーク」の“3M戦略”である。

 マルチデバイスでは、スマートフォンはもちろんタブレットや電子書籍、またデータ通信など多様な機器に通信機能が搭載されていく。一方で、従来のケータイからスマートフォンへの機種変更があると、1契約あたりのデータ量が10~20倍になるという爆発的なデータ量の増大も発生する。そこで必要なのがマルチネットワークだ。

 KDDIでは2010年から2015年にかけてのスマートフォンによるデータトラフィック量は約18倍になると推定している。2013年には現状の周波数で収容可能なデータ量を上回り、2015年には1/3しか満たせないとする。すでに発表している無線LANやLTEといった次世代技術への投資。さらにFTTHやCATVといった同社が抱える有線ネットワークの活用も進めていく。

一方で大きな課題がデータトラフィックの爆発的拡大だ

 マルチユースについては「LISMO」に代表されるキャリア側が企画・運用するコンテンツとともに、インターネットから生まれたオープンコンテンツを活用する。ここでも携帯電話時代のような“ケータイに取り込む”という発想ではなく、PCとモバイル間でシームレスに利用できることが重要になってくると語られた。

真のインターネットがモバイルデバイスにもたらされたのちに必要なのが、クラウドを軸として、さまざまなデバイス上で同じサービスがシームレスに利用できるようになることである

イー・モバイルは今年度中に5機種のスマホとタブレット
UQは2012年度中にWiMAX 2をスタート

 データ通信を中心に事業を展開するイー・モバイル、UQ WiMAXの両社はともに好調をアピールした。

イー・モバイルはスマートフォンブームを商機ととらえ、2011年度は積極的に新製品を投入する。2011年度中に5機種以上のスマートフォンとタブレットを投入予定だ

100万契約を突破するなど好調のUQ WiMAXは、基地局の2万局までの増設と、2012年度中の次世代規格「WiMAX 2」の導入を宣言した


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