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“Developer, Developer, Developer”お約束の3回連呼!

Microsoft Developer Forum 2011でバルマーが開発者を鼓舞

2011年05月24日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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5月23日、マイクロソフトは開発者向けイベント“Microsoft Developer Forum 2011”を開催した。米本社CEOのスティーブ・バルマー氏も姿を見せ、震災後の日本の開発者を力強く鼓舞する講演を行なった。

テクノロジーの明るい未来

 震災と原発事故の影響から、日本を訪れる外国人は激減しており、国内在留外国人も相次いで帰国していると言われるが、そうした状況下で経営トップが来日するのは日本市場重視の姿勢の表われだと見てよいだろう。バルマー氏の講演は、当然ながら震災被害に対する見舞いの言葉から始まったものの、そのトーンは一貫して力強く、見舞いよりもむしろ復興に向けた歩みをリードするといった迫力に満ちたものだった。

米マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏

 同氏は前回の来日から18ヶ月が経過していることを明かした上で、「マイクロソフトでの30年にも及ぶキャリアの中で、こんなにも長期間日本に来なかったのは初めて」だとした上で、「日本はマイクロソフトにとって世界第二位の市場」だとして日本市場重視の姿勢を鮮明にした。さらに同氏は、復興に取り組む日本の開発者に向けたメッセージということなのか、未来の展望の明るさについても語った。同氏は「イノベーションの中に希望がある」「コンピュータ技術を利用して社会の諸問題を解決し、社会の発展に寄与する」といったPC黎明期のような楽観的なテクノロジー観を披露した。PCはすでにコモディティ化しているという論調もすでに聞かれなくなり、「もう面白いことはあまり起こらなくなった」という捉え方が一般的になっているようにも感じられる昨今だが、創業間もないベンチャーのようなポジティブな楽観主義をトップ自らが一貫して維持していることこそが同社の最大の強みなのではないかとも思えるような前向きな力強さが伝わるメッセージだった。

 同氏は、同社の今後の重点投資分野として「5つのコアテクノロジー」を挙げた。「ナチュラルユーザーインターフェイス」「自然言語処理」「HTML/JavaScript」「ICチップとフォームファクター」「クラウド」の5つだ。これらは相互に独立したテーマのようでもあるが、密接な関連を持つテクノロジーでもある。ナチュラルユーザーインターフェイスと自然言語処理は、ユーザーがコンピュータの流儀に合わせるのではなく、直感的に操作できるようにする技術だ。HTML/JavaScriptへの投資は“Web標準への対応強化”という意味だと理解できるが、これと先の自然言語処理の組み合わせで成立しているのが同社の検索エンジンであるBingなのだという。

今後の重点投資分野として「5つのコアテクノロジー」

 また、ICチップとフォームファクターに関しては、Windows Phone 7によるスマートフォンやスレート型PC、あるいはARMチップのサポートなどを意味している。そして、クラウドはさまざまなコンピューティングプロセスのための巨大な基盤を提供する技術となる。これらをすべてまとめると、クラウドベースで提供される潤沢なコンピューティングリソースに対して、どのようなフォームファクタのどのようなデバイスからでも、Web標準のインターフェイスを介して直感的な操作で利用でき、高度な情報処理を実現する、という未来像が見えてくるだろう。同社が「将来」というのはどのくらい先のイメージなのかは明確にされていないが、ITの進化の速度を考えれば何十年も先のことではなく、数年先にゴールを設定しているのではないだろうか。

開発者を鼓舞するWINNING TOGETHERのメッセージ

日本のITエンジニアがグローバル市場で成功するためには?

 イベントでは、アンケートで寄せられた質問にバルマー氏が答えたり、最新技術のデモが公開されたりといった開発者向けのコンテンツが豊富に用意されていたが、ここで「日本のITエンジニアがグローバル市場で成功するために必要な要素は?」という質問に対するバルマー氏の回答を紹介しておきたい。

 同氏は日本を“Super High Tech Market”だとし、日本の開発者の強みとして「強力なローカル市場の存在」を挙げた。一般的な論調では、「言語の壁を超えられず日本市場でのみ展開する国内製品」という位置づけから「グローバル市場で勝負できない」というネガティブな評価につながっていく論調が目立つが、同氏の目から見れば日本は規模としても米国に次ぐ世界第二位の市場であり、かつコンシューマのレベルでもきわめて技術レベルの高い世界でも最先端を行く市場だという。このため、日本市場で支持を得られた製品は、その時点で世界でもトップレベルの製品になっているとみてよい、というのが同氏の指摘だ。

 元々日本国内では「世界に比べて日本は……」、といった卑下するような論調の方が目立つ状況だったわけだが、震災以後はなおのことあらゆる面での自信喪失といった風潮も見られるような気がする。同氏の言葉は、同氏一流の楽観主義によるものかもしれないが、年齢をまったく感じさせないエネルギッシュでアグレッシブな態度/語り口と相まって、来場者を元気づける効果はきわめて高かったのではないかと思われる。

 なお、バルマー氏の基調講演はマイクロソフトのサイトから、ストリーミングで視聴できる。

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