このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第102回

グラフィック専用メモリーの進化と不透明な今後

2011年05月23日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

図3 DDRとGDDRのロードマップ

GDDR3

 GDDR2の延長にあるのがGDDR3である。GDDR2との違いとしては、「DQS」(Data Strobe信号)が「RDS」(Read Data Strobe信号)と「WDQS」(Write Data Strobe信号)に分割され、読み書きのタイミングを別々に取れるようになったこと。そして、ハードウェアリセット機能が搭載されたという、2点の違いがある。製造プロセスは70nm辺りを使うことが多く、そのためGDDR2よりも動作電圧が下げられている。

 GDDR3の標準化は2003年9月と、GDDR2とほとんど間がない。また信号線などもほぼ同じ(DQSとリセットのみ配慮すればいい)とあって、GDDR3対応のGPUは、実際にはGDDR2とGDDR3の両対応になっていることが一般的だ。一応ローエンドがGDDR2で、メインストリームがGDDR3といった使い分けが当初はなされていたが、ほどなくこのあたりはごちゃごちゃになってしまった。

 価格的にもほとんど差がなくなった結果、GDDR2は2008年あたりにフェードアウトした。一方のGDDR3は、現在でもローエンド~メインストリームの下の製品向けに利用されている。

GDDR4

 GDDR3まではDDR2をベースとしたものだったが、GDDR4はDDR3をベースとした規格に変わった。GDDR4が標準化されたのは2005年12月のことで、搭載製品が登場したのは2006年以降となっている。

 基本的にはDDR3と同じ転送プロトコルを使うGDDR4だが、独自に拡張されたものとして「DBI」(Data Bus Invention)と「Preamable」がある。前者は、例えば信号が「High」の状態が連続してある程度続く際には、Highを「Low」にして送るというもので、これにより信号の駆動電力削減が可能になる。後者はレイテンシーをあらかじめ通知する仕組みで、これによりコントローラー側が効率よく通信できるようになる。

 信号電圧/動作電圧は共に1.5Vと1.8Vが標準化されており、当初は1.8Vを使う製品が多かったものの、後期は1.5Vの製品が増えている。最終的には3.2Gbpsまで動作速度が上がったところで、後継となるGDDR5と入れ替わり、現在ではほとんど使われていない。

GDDR5

 現役のGDDR5は、2009年9月にJEDECで最初の標準化が行なわれた。当初は4Gbpsの規格だったのが、5Gbps、6Gbpsと段々性能が上がっていき、現在は7Gbpsの量産に向けてベンダー各社の作業が進んでいるという状態である。

 GDDR5はGDDR4同様に、DDR3をベースとしたものであるが、GDDR4との相違点としては、クロック信号が追加された点が挙げられる。例えば4GbpsのGDDR5の場合、1GHzの「CK」「CK#」というクロックと、2GHzの「WCK」「WCK#」という、4種類のクロック信号を使っている。アドレスやコマンドなどの転送はCK/CK#で転送し、データの書き込みはWCK/WCK#に同期させて行なうという仕組みだ。

 GDDR5も当初は1.5V駆動だったが、最新プロセスを使った製品の中には1.35Vのものも登場し始めている。

 ここまでの各製品が使われていた時期をまとめたのが、図4となる。

図4 DDRとGDDRが使われていた時期

2012年以降が不透明な次世代GDDR

 さて、問題は今後の話である。GDDR5で7Gbpsまで引っ張ったことで、2011年に登場するAMD/NVIDIAの製品も、引き続きGDDR5を使うことはまず間違いない。だが、2012年の世代になると、さすがに帯域が不足する。そこでより高速な転送速度(8Gbps以上)を狙うことになるのだが、この際に問題となるのが、DRAMそのものではなくGPUとDRAMの接続方法である。

 GDDRとメモリーの接続は、1対1でつながるポイント・ツー・ポイント方式ではあるが、信号方式は単純なシングルエンド方式(基準値より電圧が高いと1、低ければ0)なので、さすがに正確な信号伝達が難しい領域に入っている。RAMBUSは「GDDR5で最高12Gbpsまで転送可能」というメモリーコントローラーをデモしているが、これはRAMBUSが特許を持つ技術をふんだんに盛り込んで可能になった。これと同等のことを、一般的なメモリーコントローラーで(RAMBUSの技術を回避しながら)実現するのは、かなり困難である。

 これは信号をディファレンシャル(差動)方式にした場合も同じだ。やはりRAMBUSが「XDR DRAM」や「XDR2 DRAM」で山ほど特許を取得しているので、これをうまく回避しないとFB-DIMMの二の舞になってしまう。

 4月あたりからJEDECは、次世代GDDRに関する話し合いを正式に始めているが、今のところ「こうなる」という確たる見通しが立っているわけではない。DRAMの内部そのものはこれまでと同じく、DDR4をベースに高速化というあたりではないかと思われる。だが、信号方式を今のままシングルエンド方式でがんばるのか、ディファレンシャル方式に変えるのか、というあたりの検討からやり直しているので、何らかの方向性が見えるまでにはもう少し時間が掛かりそうだ。

 ということで、次回では次世代GDDRに大きな影響を与えているXDR DRAMについて解説したい。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン