週刊 PC＆周辺機器レビュー 第102回

格好よし性能よしの高性能モバイル Alienware M11x

11型級のボディーに
Core i7/i5とGeForce GT 540M搭載

　M11x最大の特徴が、11型級ノートとしては屈指の高性能を備える点にある。CPUには超低電圧版のCore i7-2617M(1.50GHz)またはCore i5-2537M(1.40GHz)を採用。定格の動作周波数こそ低いが、ターボ・ブースト・テクノロジーによりそれぞれ最大2.60GHz、2.30GHzでの動作も可能で、モバイルノートに必要な省電力性能と、ゲーミングノートに必要な高い処理性能を両立している。

　グラフィックス機能としては、NVIDIAのDirectX 11対応ノート向けGPUでも上位に位置する、「GeForce GT 540M」を内蔵する。選択するCPUによってビデオメモリー搭載量も異なり、Core i5時はビデオメモリー1GB、Core i7時は2GBを搭載する。当然ながら、11型級のノートでこれだけのGPUを積む製品はまずない。

　NVIDIAの省電力技術「Optimus Technology」にも対応。GPUを必要としないWindowsデスクトップやアプリケーションは、インテルCPUの内蔵機能(Intel HD Graphics 3000)を使用。GPUを必要とするアプリケーションでのみ、GeForce GT 540Mを使用することで、電力消費を抑制しつつ必要な処理性能を実現している。

　CPU以外のコンポーネントも、充実した性能を誇る。特にモバイルノートながら、16GB(8GB×2)のメモリーを搭載できる点は特徴のひとつである。ストレージも7200rpmの500GBまたは750GB HDDのほか、256GBのSSDも選択可能だ。

　インターフェース類も充実している。モバイルノートのサイズながら、フルサイズのHDMI出力とDisplayPort出力を搭載。さらにUSB 3.0も2ポートを搭載している(ホストコントローラーはルネサス製)。ノートパソコンでのUSB 3.0搭載は珍しくなくなりつつあるが、モバイルノートで2ポートのUSB 3.0を用意する製品は珍しい。

本体左側面。主要なインターフェースが並ぶ。左からDisplayPort出力、HDMI出力、USB 2.0(電源オフ給電対応)、有線LAN、3in1メディアカードリーダ－、IEEE 1394

本体右側面。ヘッドホン×2、マイク、USB 3.0×2

Alienwareのパソコンは、各部のLEDの色を変える機能を備える。M11xもキーボードやフロント左右のスピーカー、エイリアンフェイスやロゴマークなどを、任意の色で光らせることが可能。写真ではロゴマーク、キーボード、フロントの色を変えている。さまざまな色に変化させ続けたり、メールの着信時には点滅させることも

　ボディーサイズが小さいため、キーボードは少々変則的なキー形状と配置をしている。特にEnterキー右列に幅の狭いキーが配置されていたり、カーソルキーや左Altキーが小さい点は使っていて少々気になる。カーソルキーが小さいのはゲームで不便なようにも思うが、欧米のゲームでは上下左右移動に「WASD」を割り当てるのが一般的なので、カーソルキーは小さくても支障ない、という判断かもしれない。

ゲームも軽快なさすがの高性能

　それでは期待の性能面を見ていこう。なお試用機の構成はCore i5-2537Mでメモリー4GB、ビデオメモリー1GBとなっている。まずWindowsエクスペリエンスインデックスの値だが、測定にはGeForce GT 540Mが反映されないため、最低値はグラフィックスの「5.3」となっている。それ以外の数値も、搭載コンポーネントからすれば妥当なところ。Windowsやアプリケーション操作でストレスを感じることはないだろう。

Windowsエクスペリエンスインデックスの値

　総合ベンチマークテスト「PCMark Vantage」のスコアは以下のとおり。定格の動作周波数が低いため、より高性能なCPUを搭載するパソコンには及ばない。しかし、大型ノートではオーソドックスなCPUとRadeon HD 6470Mを搭載する「VAIO C」よりも好成績を残すなど、基本性能の高さはうかがえる。

PCMark Vantage 32bitのスコア
PCMark	Memories	TV and Movies	Gaming
5275	3307	3366	3284
Music	Communications	Productivity	HDD
5275	6740	4022	4039