NHKとシャープは、次世代テレビ放送サービス「スーパーハイビジョン」に対応する液晶ディスプレーを開発し、その試作機を報道関係者に公開した。(プロジェクター投写映像などではない)“直視型”のスーパーハイビジョン表示装置は世界初の開発となる。
スーパーハイビジョンはNHKが1995年から開発を始め、2020年に衛星を使った試験放送を開始予定の放送サービス。解像度はフルHDの16倍となる7680×4320ドットで、フレーム周波数は120Hz。音声は24chとなる。
2002年以降、国内外でパブリックビューイングを行ない、国際標準化作業も現在進めている。なお、現状の規格ではインターレース表示だが、今後プログレッシブ表示にする予定とのこと。
今回公開されたのはシャープが開発した85V型の液晶ディスプレーで、サイズは幅1.9×高さ1.05mとなる。解像度は7680×4320ドットで、バックライトにRGB各色のLEDを採用する。輝度は300cd/m2で、表示色数は最大10億色。
このディスプレーの開発にあたり、シャープは自社製品開発で培った技術をふんだんに盛り込んでいる。
これまでにない大きな画面に高速な信号を送るため、パネルの電気抵抗値を小さくする「低負荷配線技術」や、画素を従来のフルHDテレビの4分の1にまで小さくする「高密度実装技術」を開発。さらに、コントラストや色再現、階調を高めるために、液晶テレビ「AQUOS」で実用化されている光配向技術「UV2A」を採用し、高輝度かつ低消費電力を実現するためにLEDバックライトの制御技術も利用している。
NHKの専務理事で技師長の永井研二氏は、「(スーパーハイビジョンテレビが)家庭に入ることを考えると、直視型が1つのキーとなる」とし、「(今回の開発は)大変な意義がある」と述べた。 」
また、シャープの常務執行役員で研究開発本部長 兼 知的財産権本部長の水嶋繁光氏は、「スーパーハイビジョンよりも先に高精細、大画面技術を製品化する可能性はある」と語り、今回の開発で投入した技術をフルHDテレビなどにも応用していく考えを明かした。
