
本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
VNC互換環境として使ってこその「画面共有」
複数のコンピューターを手にすると、誰もが一度は「手元のマシンから別のマシンにリモートアクセスしたい」という欲求にかられるはず。そして無線LANが普及した現在、たとえば「2階のiMacに1階のMacBook Proからアクセスしたい」、「キーボードとマウスを外しているサーバー専用機のMac miniをMacBookから呼び出したい」といった願いは、AirMacなどの無線LAN対応ルーターを導入さえすれば誰でもかなえることができる。
またLeopard(OS X 10.5)以降は、手元のマシンで別のマシンを遠隔操作するためのソフトウェアがOS標準で用意されるようになった。遠隔操作される側(サーバー)の準備は、システム環境設定の「共有」パネルで「画面共有」をチェックすればOK。これで、離れた場所にあるクライアント(Leopard以降のOS X)のFinderサイドバーにある「共有」項目にサーバー(自分のマシン)が表示されるようになり、遠隔操作を受け付けることが可能になる。
クライアント側は、Finderサイドバーにある「共有」項目に表示されたマシンのアイコンか、「システム」-「ライブラリ」-「CoreServices」フォルダー内にある「画面共有」をクリックするとサーバーに接続できる。
この「画面共有」、そもそもApple Remote Desktop(ARD v2.1以降)がVNC派生版的製品であるため、TCP/IPベースのリモートデスクトップ制御プロトコルであるVNC(Virtual Network Computing)と互換性がある点がポイントだ。さらに「画面共有」のクライアント部分(/System/Library/CoreServices/Screen Sharing.app
)には、クリップボード経由でデータをコピー&ペーストする機能など、OS X間で便利な拡張が施されている。
「画面共有」をVNCクライアント互換環境として運用するには、まずは前述の「画面共有」画面で「コンピューター設定...」ボタンをクリックする。次に、現われたダイアログで「VNC使用者が画面を操作することを許可」をチェックしてパスワードを設定するだけでいい。VNCプロトコルはプラットフォーム非依存なので、WindowsやLinux、iOSなど他のOS上で動作するVNCクライアントからでも接続可能だ。
このVNC互換という点を踏まえると、OS Xの「画面共有」は格段に応用範囲が広くなる。次項では、有用なVNCクライアントのうちOS X用およびiOS用ソフトを1本ずつ紹介しよう。
(次ページに続く)

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