このページの本文へ

CS5.5以降のFlashとHTML5の関係――アドビに聞く (2/2)

2011年05月18日 13時13分更新

文●小橋川誠己/Web Professional編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

HTML5/CSS3へは今後も対応、Flashは表現力で先を行く

――モバイル対応の次に目に付いたのが、HTML5やCSS3への対応です。Dreamweaver CS5.5ではHTML5/CSS3のサポートも進みました。アドビは今後、どのようにHTML5やCSS3へ対応しますか?

西山 まず大前提として、アドビはHTML5を始めとするWeb標準に今後もコミットしていきます。CS5.5ではDreamweaverでHTML5やCSS3のコーディングに対応しましたが、今後はDreamweaverに限らず、HTML5/CSS3のサポートを進めていきます。

 たとえば、DreamweaverはWebページのオーサリングツールですが、Webページではなく「HTML5アニメーションを作りたい」といったニーズもあるでしょう。HTML5アニメーションのオーサリング機能をDreamweaverに付けるか、Flash Professionalに変換機能を持たせるのか、あるいは専用ツールを作るのか。いろいろな選択肢がありますが、そういったニーズへの対応も考えていきたいですね。

――では、HTML5と一部競合するFlashは今後どうなりますか?

デベロッパーマーケティングスペシャリストの轟 啓介氏

 Flashの強みはやはり表現力に尽きると思います。HTML5も追い上げていますが、まだFlashでしかできないことはありますし、パフォーマンスや作りやすさ、メンテナンス性を考えるとFlashは歴史が長い分、先んじている面があります。

 その1つの例が、次期Flash Playerで計画されている3D機能です。昨年のAdobe MAX 2010では、ブラウザー上のFlash Playerでプレイステーション2並みのポリゴンを実際に動かす、というデモを披露しました。

――とはいえ、iOS上でFlash Playerが使えないことを理由に、FlashからHTML5/JavaScriptへの移行を検討する企業も出てきています。

 難しい問題ですが……。たとえば、自社のスタッフがFlashを得意とするエンジニアばっかりだったら、HTML5へ無理に移行しようとしても工数がかかるでしょう。ケースバイケース、適材適所で判断してもらうのがよいのではないでしょうか。個人的には、必ずしも常にFlashを使ってもらう必要もないと思いますし、逆にHTML5を使う必要がない場合もあると思います。

 HTML5の仕様はだいぶ固まってきていますが、まだ不安定な部分もあります。ブラウザーの選択肢が少ないスマートフォンではともかく、PCサイトの場合はまだまだ実案件よりも研究レベルでの利用がほとんどでしょう。実案件での利用が少ない中で、どうやって移行していくか――制作会社にとっては難しい経営判断になるでしょうね。

 一方、Flashは仕様に揺らぎがないので、すでにFlashを習熟している方なら、それほど大きなコストをかけずにスマートフォンやタブレットにも対応できます。あと4~5年くらい経って、HTML5の仕様がもっと安定して実際に使われるようになれば状況は変わると思いますが、それでも求められる要件ごとに判断することになるのではないでしょうか。

西山 標準技術を使うのか、プラグインの技術を使うのかは必ず利益が相反する部分があると思います。これまでFlashを使う理由は大きく2つありました。1つはブラウザーだけでできない表現をするため。もう1つはブラウザーの互換性の問題を回避するためです。

 ブラウザーができないことを補完するためにプラグインが存在する。どのようなブラウザーであってもプラグインを使っている範囲においては同一の結果を保証する。こうした両者の関係は、これからも大きく変わらないと思います。


モバイルアプリも審査対象に!
「Adobe AIR Contest 2011」が開催中

 Adobe AIR Galleryに登録されたAIRアプリの中から、特に優秀な作品を表彰する「Adobe AIR Contest」。4回目の開催となる「Adobe AIR Contest 2011」では、スマートフォン向けのAIRアプリ(Android/iOSアプリ)もターゲットに! 優秀作品には、米国ロサンゼルスで10月に開催されるAdobe MAX 2011への招待やAdobe Creative Suite製品が贈られる。詳細は同社のWebサイトをチェックしよう。

前へ 1 2 次へ

Web Professionalトップへ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています