このページの本文へ

タブレット人気の陰で、大幅に進化しつつあるタブレットPC

スレートPCが仕事を変える

2011年05月25日 12時49分更新

文● ASCII.jp編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

コンパニオンデバイスにもWindows

 タブレットPCについてのマイクロソフトの立場は一貫している。パソコンと同じソフトが動き、それをパソコン用のWindowsと同じ操作感で利用できるようにすることがユーザーに利益を最大化するというものだ。竹内氏も「WindowsのコンパニオンデバイスのOSとしても最適なのはWindows」という認識を示す。

 Windows 7やAzureの発売と前後したころから、マイクロソフトが掲げているビジョンのひとつに「3スクリーン+クラウド」というものがある。

3スクリーン+クラウドの概念図。上部にあるモバイル機器、PC、テレビが3種類の画面。これらがクラウドにある同じデータにアクセスすることでユーザーの利便性が高まるという考え方。これをマイクロソフトのサーバー製品やウェブサービスが支える

 3スクリーンとは「パソコン」「テレビ」「携帯電話」の画面を指す。つまり会社・リビング・モバイルの環境を操作感の親和性が高いWindowsファミリーで統一し、その上で取り扱うデータやアプリケーションは、Windows LiveやWindows Azureといったクラウド型サービスを利用すると言うものだ。

 このあたりはWindows CEが登場した約15年前、あるいは.NET Frameworkが登場した約10年前など折に触れて同社が主張してきた内容と整合性を持つ。特に近年のIT環境の整備の中で注目を浴びているコンシュマリゼーションITの文脈の中でこのコンセプトは生きてくるように思う。

 つまり個人市場主導でITが進化し、それが法人市場にも反映されるという流れの中、仕事とプライベートの垣根はどんどん低くなってきている。1日のタイムラインで、常時接続した様々な機器を持ちかえ、仕事と日常生活を取り扱うのが当たり前となる。同じアプリをそのまま使えるなら、ユーザビリティーの観点で大きな武器になるのだろう。


大企業導入で問われる管理性・セキュリティー機能

 スマートフォンの普及は、タッチデバイスの便利さをユーザーに実感させ、より大画面のタブレットの存在感を高めた。そしてそれを企業に導入しようという流れも生んでいる。例えば「高額商品のカタログ」や「医療カルテ」などへの応用が進んでいるほか、相手に失礼な印象を与えないということで、画面を見せながらのプレゼンテーションなど商談の道具としても優れた面を持つ。

 とはいえ、元々パーソナルなデバイスとして開発されたiPadにはいくつかの課題があると竹内氏は指摘する。

竹内氏は、日常業務でもスレートPCを持ち歩き、デスクや会議で利用していると話す。手書き認識などの精度も上がっており、文字入力なども十分だと言う

竹内 「大型案件になればなるほど、PCと同じように管理したいというニーズが出てきます。生産性という観点ではユーザビリティーに共通感があること、管理性という観点ではパッチ、メンテナンス、資産管理、セキュリティーの観点ではBitLockerなどの暗号化技術、VDI(仮想デスクトップ)によるサーバーサイドコンピューティングなど、Windowsパソコンであることのメリットが出てくると思います。

 大規模導入になれば、Windowsは大前提。その上でビューイング中心のシンプルな操作感を求めるのであればスレートPC。編集が必要になるならノートやコンバーチブル型タブレットを選ぶ形になると思います。スレートPCは産業特化型(バーチカル)のデバイスや営業職が常時持ち歩くデバイスとして適しています」

 また、アプリケーション開発という観点では.NETで開発された既存のアプリケーションをそのまま利用できるものも有用で、すでにWindows用に開発されたアプリケーションをObjective-Cなどで新規に書き起こすよりも大幅な工数を低減できるとする。

竹内 「PC OSの進化とPhone OSの進化が、スレートという新しいデバイスに活かされているというのは興味深いです。スレートPCはWindows 7 ベースの製品ですが、マイクロソフト本社は(2011年1月にCESの会場で表明された)ARM版Windowsの開発も進めており、これがどのような市場を切り開いていくかにも注目しています」

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ