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Apple Geeks 第38回

MacRuby+IMKitベース、驚異の日本語IME「Gyaim」

2011年05月11日 12時00分更新

文● 海上忍

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MacRubyベースの「Gyaim」を試す

 先日、IMKitを利用したユニークなソフトウェアが公開された。その名は「Gyaim」。POBoxの開発で知られる増井俊之氏(Apple勤務を経て、現在は慶應義塾大学環境情報学部教授)が開発した日本語IMEで、スクリプト言語「MacRuby」で記述されている。MacRubyでは、一般的なRubyスクリプトからあらゆるObjective-Cライブラリーにアクセスできるため、IMKitも利用できてしまうのだ。

ニコニコ動画に、増井俊之氏ご本人による「Gyaim」のデモ動画が投稿されている

 Gyaimの利用にあたっては、MacRubyが必要だ。まずはこちらより最新版のv0.10をダウンロードし、ZIPアーカイブに含まれるパッケージをインストールしよう。なお、MacRuby v0.10の動作にはSnow Leopardが稼働する64bit CPU搭載機が必須なので、念のため。

 また今回紹介する方法では、Gyaimのコンパイルのために開発環境「Xcode 3」および「Mac OS X 10.5 SDK」が必要になる(Apple Developper Centerより無償で入手可能)。「Xcode 4」では、Mac OS X 10.5 SDKがサポートされていない点に注意されたい。

まずはMacRubyのインストール。最新バージョンはSnow Leopard/64bit CPUでなければ動作しないので注意

 次はソースコードのダウンロード。ウェブブラウザーでGitHubのサイトにアクセスし、画面右側の「Downloads」ボタンをクリックすると、「.tar.gz」と「.zip」のどちらにするか尋ねるダイアログが現われるので、ここでは「.tar.gz」を選んでほしい。すると、~/Downloadsに「masui-Gyaim-5f81f45.tar.gz」というアーカイブがダウンロードされる。

 あとは、Terminalから以下に示すコマンドラインを実行し、いったんログアウトした後に再ログインしてほしい。これで、システム環境設定の「言語とテキスト」でGyaimが選択できるようになるはずだ。なお、ユーザー辞書は~/.gyaimdict/localdict.txt、学習辞書は~/.gyaimdict/studydict.txtにセーブされる。


$ tar xzf masui-Gyaim-5f81f45.tar.gz
$ cd masui-Gyaim-5f81f45
$ mkdir ~/.gyaimdict
$ touch ~/.gyaimdict/dict2d
$ make small

 Gyaimの日本語IMEとしての機能はシンプルで、「a」から「z」のキーが押された場合はローマ字入力だと判断して辞書(Palm版POBoxの「富豪辞書」を使用)の検索を開始、マッチしたものを候補としてウィンドウに表示する。そしてSPACEキーまたは「delete」(Backspace)キーの押下で候補の並べ変えを行ない、enterキーで先頭にある候補をカーソル位置に入力する。ローマ字入力後に「.」(ピリオド)を押すと、Google サジェストの検索語入力補完機能を利用できることは、覚えておきたいTIPSだ。

 そして驚くべきは、これがわずか数百行のRubyスクリプトで記述されていること。IMKitの恩恵もさることながら、MacRubyを利用すれば新世代日本語IMEのプロトタイプもラクにコーディングできるかも……などと思わず期待してしまうのだ。


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